“母子ともに問題なし(2006.06.23掲載)

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Image妊娠中の乳がん治療は安全

乳がんは女性に最も多いがんであることは知られているが、米国では毎年約3,000人が妊娠中に乳がんと診断される。多くの妊婦は、がん治療が胎児に及ぼす影響を心配している。しかし乳がんの治療は、胎児に影響を与えないことが米国の研究で明らかになった。

妊 娠中の乳がんの治療には、治療をしないで母体を危険にさらすか、治療をして胎児を危険にさらすかのジレンマがあった。妊娠に合併した乳がん治療の最善の目 標は、健康な子供の出産と母体の安全である。妊娠中絶をすれば胎児への影響を考える必要はなくなるが、妊娠中絶をしても予後は一般の乳がん患者と差がない とされている。

今回、妊娠中に乳がんと診断された57人を追跡調査した。死産はなかった。新生児には乳がん治療によると思われる異常はなく、何らかの合併症を認めたのは37%であり、他のハイリスク妊娠の出生児での頻度と差がなかった。また母親の予後も一般の乳がん患者と差がなかった。

研究者らは「乳がん治療は胎児に影響を与えず、妊娠中絶は必ずしも必要でない。ただし、妊娠が乳がんの治療法にまったく影響を与えないわけではない」としている。

妊 娠中は乳房肥大のためにがんの発見が遅れやすく、ある程度進行している症例が多い。そのため乳房温存術よりも乳房切除術が多く行われる。また一般的には、 必要に応じ外科手術の後に放射線療法が行われるが、放射線の被曝は胎児に影響を与えるので妊娠中は禁忌(きんき)である。同様に、化学療法も器官形成期で ある妊娠初期は投与できず、中期以降まで投与が延期される。

専門家は「乳がんに対する新しい治療薬が開発されてきており、妊娠に合併した乳がんの治療にも今後適応が広がるかもしれない」と述べている。

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