進行をストップ(2007.5.17掲載)

share on:

Imageマウスで乳がんワクチンの効果を確認

まだ動物実験の段階ではあるが、腫瘍細胞に対する強力な免疫応答を誘導し、乳がんの進行を抑制するワクチンが、米国の研究者によって開発された。

研究者らは、合成のペプチド(2つ以上のアミノ酸からなる化合物)ワクチンを、乳がん遺伝子HER-2/neuを持ち、すでに早期の乳がんを発症しているメスのマウスに投与した。その結果、すべてのマウスにおいて乳がんの発育が遅くなるか、止まる効果が認められた。

通常、合成ペプチドだけでは強い免疫反応は起こらないため、研究者らは、トル(Toll)様受容体刺激物質という、細菌の侵入時と同様な免疫反応を誘発する物質をワクチンと同時に投与することによって、抗腫瘍T細胞というリンパ球の働きを刺激し、乳がん細胞の増殖を防いだ。

つまり、この合成ペプチドワクチンを用いて、細菌感染時に起こる反応を真似させることによって、HER-2/neuという乳がん遺伝子を非常に危険なものと認識するよう訓練し、このがん遺伝子マーカーを細胞表面にもつがん細胞すべてを危険な異物と捉えて除去させるという、特定の免疫反応を強化するという仕組みである。

がんワクチンは、発症予防と現存するがん治療を行う2種類に大きく分けられる。前者の予防目的のワクチンは、特定のがんを引き起こすウイルスに対するワクチンで、すでにB型肝炎ウイルス(肝臓がん)とヒトパピロマウイルス(子宮頸がん)の2種類が米国食品薬品局(FDA)に承認されている。

今回の乳がんワクチンは、自然に体に備わっている免疫力を高めて、正常細胞をいためずにがん細胞の消滅を目的とするもので、これまでに前立腺がんなどのがんに対して研究されてきているが、がんワクチンの治療効果が確立されたものはまだない。今回の試みにより、がん治療ワクチン実用化への道が少し近づいたといえる。
(HealthDay News 4月17日)

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=603748
Copyright © 2007 ScoutNews, LLC. All rights reserved.