乳房温存手術後の乳房放射線照射により生存率が向上、再発率は半減(2012.3.7掲載)

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乳癌の女性に対して、乳房温存手術後に放射線療法を施行すると、施行しなかった女性に比べ再発率が有意に低く、生存率の高いことが、英国の新しい研究により報告された。また、この腫瘍摘出術後の放射線療法による長期的な有害作用は認められず、全死因死亡率にも大幅な減少がみられたという。研究は英医学誌「Lancet」オンライン版に10月21日掲載された。

研究結果に対し、米ダナ・ファーバー癌研究所/ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)放射線腫瘍学部長のJay Harris氏は「局所的な再発を避けるための放射線療法と、長期的な生存率向上との間に重大な関連があることが、今回初めて示された。米国では2005年まで、放射線療法は長期的生存率の改善効果はなく、局所再発は低減させるというのが一般的な考えであった」と述べている。米フォックス・チェイス癌センター(フィラデルフィア)放射線腫瘍学のShelly Hayes博士は「乳房温存術後の放射線療法はすでに一般的に行われている。この知見は懐疑派の間に根強く残る疑問を解消すると思われる」と述べている。

Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)が行った今回の研究では、乳房温存手術後に放射線療法を施行した例と非施行例(対照群)を比較した17件の無作為化試験の被験者約1万1,000人のデータをメタアナリシスにより評価した。病巣側の乳房に放射線照射を行うことにより、全体の再発率が半減したほか、死亡率に約6分の1の減少がみられた。10年後、 放射線療法を受けた女性の再発率は19%であったのに対し、対照群では35%とほぼ2倍であった。診断から15年後には、放射線療法群の全生存率は25%、対照群では21%であり、全死因死亡率の絶対リスク低減は3%であった。

年齢、腫瘍のグレード(悪性度)、エストロゲン受容体の状態、抗エストロゲン薬タモキシフェンの使用の有無、手術の種類によって数値には変動がみられた。「患者の受けるベネフィットの大きさは、好ましい因子が多いほど小さかったが、全般的にはこのような特徴にかかわらずいずれのサブグループにもベネフィットが認められた」とHayes氏は述べている。

研究共著者である英オックスフォード大学教授のSarah Darby氏は「これまで放射線療法が本当にどの患者にも必要なのかどうかについて医師らは疑問を抱いてきたが、今回の知見は、放射線療法により得られるベネフィットについて理解を深めるものとなるはずだ」と述べている。(HealthDay News 10月19日)

http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=658032
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