コンピュータプログラムを用いた病理診断が乳癌患者の生存評価に有用(2012.3.7掲載)

share on:

乳癌の顕微鏡画像を分析するC-Path(Computational Pathologist)と呼ばれる新しいコンピュータモデルは、患者の生存予測において病理医よりも優れていることが新しい研究で示された。

米スタンフォード大学コンピュータ科学教授のDaphne Koller氏は、「同じデータを用いた場合に、C-Pathコンピュータプログラムは、医師が提供するよりもはるかに多くの情報を提供してくれる。技術を確立するためにはさらに研究を要するが、このプログラムはいつの日か、80年間ほとんど変わっていない病理医による乳癌の分析を補充するものになりうる」と述べている。

従来の方法では、病理医が腫瘍を顕微鏡で観察し、確立されたスケールに従いスコア評価する。スコアは癌のタイプおよび多様性の判断に役立ち、この情報をもとに、医師は治療の概要およびコースを算定している。

病理医の診断は、腫瘍における管状様細胞の占める割合、外側細胞(outer cell)の核の多様性、細胞分裂の頻度という3つの要因に依存する。しかし、Koller氏らはこの方法が主観的であると指摘、今回の研究ではC-Pathの画像分析プログラムを用いて、コンピュータに乳癌組織の生検材料を分析させ、生存予測に最も重要な癌の特徴と最も重要でない特徴を調べた。

6,000個以上の細胞因子が検討され、癌周辺の細胞の特徴(すなわち癌がおかれている環境)も生存予測に重要であることが判明した。また、オランダの乳癌患者248例、カナダ、バンクーバーの乳癌患者328例の画像にC-Pathシステムを適用したところ、いずれの群でもC‐Pathによる予後スコアは生存と強く関連し、C-Pathで高リスクと予測された患者は低リスクと予測された患者に比べて所定の年数内に死亡する可能性が高かった。

筆頭著者である米ハーバード大学医学部(ボストン)病理学助教授(研究当時は米スタンフォード大学医学部博士課程に在籍)のAndrew H. Beck氏は「C-Pathにより最終的に、生存と最も強い関連を示す11個の因子が判明した。C-Pathは病理医に代わるものではなく病理医を助けるものであり、最終的には相補的なアプローチになると考えている」と述べている。

米エール大学医学部病理学教授のDavid L. Rimm氏は付随論説で、この研究を“画期的な”研究と呼び、「C-Pathは、癌組織やその周囲の間質(結合組織)に対する初めての真に客観的かつ定量的な評価システムとなる可能性がある」と述べている。研究結果は、医学誌「Science Translational Medicine」11月9日号に掲載された。(HealthDay News 11月9日)

http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=658739

Copyright (c) 2012 HealthDay. All rights reserved.

Tags: