使用頻度の高い乳癌遺伝子検査の不完全性が指摘される(2012.3.7掲載)

share on:

広く使用される乳癌検査では、治療を決定する上で重要な遺伝子を正確に同定評価できない可能性があるという。医学誌Journal of Clinical Oncology10月18日号に掲載された研究によると、米Genomic Health社が販売するオンコタイプDX検査で、HER2遺伝子について相当数の偽陰性(false-negative)が認められた。

HER2遺伝子が陽性の患者においては、再発および死亡リスクを低減させるために、一般的には分子標的薬トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)を他剤と併用するが、「患者に完全に誤った治療をしてしまう可能性がある」と、研究の筆頭著者である米ピッツバーグ大学メディカルセンター(ペンシルべニア州)Magee-Womens病院教授のDavid J. Dabbs氏は述べている。

しかし、米フォックス・チェイス癌センター(フィラデルフィア)のLori J. Goldstein博士は、「オンコタイプDX検査は21種類の遺伝子を評価する検査であり、HER2の評価を単独の目的としたものでも、広く用いられ受け入れられている他の2つの検査法の代用でもない」と指摘している。

オンコタイプDX検査は、エストロゲン受容体陽性およびプロゲステロン受容体陽性腫瘍の同定において信頼性が示されている。HER2のアッセイ(定量)においては免疫組織化学(IHC)法およびFISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)法のみが妥当なものとされ、いずれも米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。

Genomic社のオンコタイプ検査では、HER2の評価に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いている。HER2評価における同検査の精度を検討するために、Dabbs氏らは、米国内3カ所の検査施設で生検標本検査を受けた患者843人を対象に、全3種類の検査結果を比較した。その結果、IHCおよびFISHで陰性であった場合は総じてオンコタイプ検査でも陰性であったが、IHCおよびFISHの結果がequivocal(境界域)と報告された23例は、いずれもオンコタイプ検査では陰性であった。IHC およびFISHで陽性とされた検体のうちオンコタイプ検査でも陽性であったのはわずか28%で、33%は境界域、39%は陰性であった。 Dabbs氏は「本検査を受けた人は、ホルモン受容体の分析を他のFDA認定の方法で確認する必要があり、この検査法のみを信頼してはいけない」と述べている。

Goldstein氏は「ただし、全体としてHER2陽性の腫瘍の割合はわずかであったため、結果にバイアスがかかっている可能性もある」と指摘している。また、Genomic Health社はヘルスデーに対するコメントの中で、この知見が「一方的な結論」であると反論。「諸検査間の結果の不一致は珍しいことではなく、これらの不一致を補うために、我々はオンコタイプ検査にRT-PCR法によるHER2評価を追加する措置をとっている」と述べている。同社の支援により実施された2010年の研究では、FISH 法による結果に一致するRT-PCRの結果が認められている。(HealthDay News 11月4日)

http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=658604
Copyright (c) 2011 HealthDay. All rights reserved.

 

Tags: