米食品医薬品局(FDA)は、胃の神経への電気刺激で食欲を抑制する植え込み型デバイスを承認した。病的肥満の治療を目的とした医療機器としては2007年ぶりの承認となる。 製造元のエンテロメディックス社(ミネソタ州)によると、「Maestro Rechargeable System」という同デバイスは、胃周辺で消化コントロールを助ける迷走神経に電気信号を送る。この信号が迷走神経を遮断し、空腹感を減少させて満腹感を与える。. デバイスの適応は、ボディ・マス・インデックス(BMI)35~45で、2型糖尿病のような肥満関連疾患を1つ以上有する18歳以上の病的肥満患者。FDAは、通常の減量プログラムでの減量に失敗した患者を適応にすべきとしている。. デバイスの有効性を検討した臨床試験では、デバイスの植え込みを受け作動させた群で、植え込みは受けたものの作動させなかった群(対照群)に比較し1年間で平均8.5%多い体重減少が得られた。過剰体重の20%以上の減少はデバイス作動群の約半数で、過剰体重の25%以上の減少は同38%で認められた。. エンテロメディックス社によると、試験終了後6カ月時点でもデバイス作動群では減量した体重が維持されたが、対照群では減量分の40%の体重が再度増加した。. FDAは、今回の臨床試験は対照群に比較して10%以上の減量という初期の目標には到達していないことを指摘している。ただ、FDA諮問委員会は減量の持続ができている点を考慮。適応のある患者ではデバイスによる肥満治療の便益がリスクを上回るとの結論を下した。. 承認の要件として、エンテロメディックス社は100人以上の患者を追跡する5年間の市販後試験を実施し、安全性および有効性について追加データを収集することになっている。. 米ノースショア-LIJショセット病院体重管理センター(ニューヨーク州)のMaria Pena 氏はこの承認について、医師が直ちにこのデバイスを受け入れ、患者に使用を勧めることはないだろうと指摘。. 「外科的処置を必要とする植え込みを行う前にはその価値があるかを考慮する。このデバイスが減量を促進するといってもどれだけのものかは不明だ。同様の挑戦は過去にも行われているが、あまり効果をあげてはいない。外科的処置を行う価値があるのかどうか、さらなるデータと時間が必要だ」と否定的な見解を示している。. 一方、米マウントサイナイ病院(ニューヨーク市)の肥満栄養専門家Christopher Ochner,氏は肯定的で、「このデバイス自体が肥満の蔓延との戦いの方向を変えるとは思わないが、肥満に対する治療アプローチとして一歩前進といえる。肥満は生物学的疾患であり、継続した減量にはより生物学的な介入が必要だ」としている。. 臨床試験で認められたデバイス植え込みに伴う健康上の問題は患者の4%と少なかった。臨床試験で報告された重篤な反応は、吐き気、嘔吐、外科的合併症、植え込み部位の皮下の痛みなど。他に、痛みや胸やけ、嚥下障害、げっぷ、軽度の吐き気、胸痛などの有害事象が認められている。(HealthDay News 1月14日). http://consumer.healthday.com/public-health-information-30/food-and-drug-administration-news-315/fda-approves-new-device-to-treat-obesity-695504.html Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.
米食品医薬品局(FDA)は、胃の神経への電気刺激で食欲を抑制する植え込み型デバイスを承認した。病的肥満の治療を目的とした医療機器としては2007年ぶりの承認となる。 製造元のエンテロメディックス社(ミネソタ州)によると、「Maestro Rechargeable System」という同デバイスは、胃周辺で消化コントロールを助ける迷走神経に電気信号を送る。この信号が迷走神経を遮断し、空腹感を減少させて満腹感を与える。. デバイスの適応は、ボディ・マス・インデックス(BMI)35~45で、2型糖尿病のような肥満関連疾患を1つ以上有する18歳以上の病的肥満患者。FDAは、通常の減量プログラムでの減量に失敗した患者を適応にすべきとしている。. デバイスの有効性を検討した臨床試験では、デバイスの植え込みを受け作動させた群で、植え込みは受けたものの作動させなかった群(対照群)に比較し1年間で平均8.5%多い体重減少が得られた。過剰体重の20%以上の減少はデバイス作動群の約半数で、過剰体重の25%以上の減少は同38%で認められた。. エンテロメディックス社によると、試験終了後6カ月時点でもデバイス作動群では減量した体重が維持されたが、対照群では減量分の40%の体重が再度増加した。. FDAは、今回の臨床試験は対照群に比較して10%以上の減量という初期の目標には到達していないことを指摘している。ただ、FDA諮問委員会は減量の持続ができている点を考慮。適応のある患者ではデバイスによる肥満治療の便益がリスクを上回るとの結論を下した。. 承認の要件として、エンテロメディックス社は100人以上の患者を追跡する5年間の市販後試験を実施し、安全性および有効性について追加データを収集することになっている。. 米ノースショア-LIJショセット病院体重管理センター(ニューヨーク州)のMaria Pena 氏はこの承認について、医師が直ちにこのデバイスを受け入れ、患者に使用を勧めることはないだろうと指摘。. 「外科的処置を必要とする植え込みを行う前にはその価値があるかを考慮する。このデバイスが減量を促進するといってもどれだけのものかは不明だ。同様の挑戦は過去にも行われているが、あまり効果をあげてはいない。外科的処置を行う価値があるのかどうか、さらなるデータと時間が必要だ」と否定的な見解を示している。. 一方、米マウントサイナイ病院(ニューヨーク市)の肥満栄養専門家Christopher Ochner,氏は肯定的で、「このデバイス自体が肥満の蔓延との戦いの方向を変えるとは思わないが、肥満に対する治療アプローチとして一歩前進といえる。肥満は生物学的疾患であり、継続した減量にはより生物学的な介入が必要だ」としている。. 臨床試験で認められたデバイス植え込みに伴う健康上の問題は患者の4%と少なかった。臨床試験で報告された重篤な反応は、吐き気、嘔吐、外科的合併症、植え込み部位の皮下の痛みなど。他に、痛みや胸やけ、嚥下障害、げっぷ、軽度の吐き気、胸痛などの有害事象が認められている。(HealthDay News 1月14日). http://consumer.healthday.com/public-health-information-30/food-and-drug-administration-news-315/fda-approves-new-device-to-treat-obesity-695504.html Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.