2型糖尿病や肥満患者では、血漿レプチン高値が心血管系自律神経障害の予測因子となる可能性が、兵庫医科大学糖尿病・内分泌・代謝内科の藏城雅文氏、小山英則氏らの検討でわかった。詳細は、「Cardiovascular Diabeteology」9月4日号に掲載された。 糖尿病合併症のひとつとされる心血管系の自律神経機能障害は、進行すると予後が悪化し、突然死のリスクも上昇する。これまで内臓脂肪の蓄積が心血管系の自律神経障害に悪影響を及ぼすことが報告されてきたが、その機序は明らかにされていなかった。. 最近の基礎研究で、脂肪細胞由来のホルモンであるレプチンが、視床下部背内側核を介して自律神経機能を修飾する可能性が報告された。同氏らの研究グループはこの血漿レプチンに着目し、2型糖尿病患者を対象に、血漿レプチン値や内臓脂肪蓄積と心血管系自律神経機能との関連を検証する横断研究を行った。. 対象は、同氏らが遂行しているHSCAA(Hyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis)コホート研究(Atherosclerosis 2015; 238: 409-414)に登録された2型糖尿病患者と、年齢・性を一致させた2型糖尿病既往のない心血管疾患リスク因子保有者それぞれ100人。典型的な心血管リスク因子のほか、血漿レプチン値とレプチン受容体の発現レベル、内臓脂肪面積(VFA)、心拍数変動(HRV)を比較検討した。. その結果、2型糖尿病患者においてVFAおよび血漿レプチン値はHRVパラメータとの間にそれぞれ有意な逆相関が認められた(レプチン受容体発現レベルには関連性なし)。多変量回帰分析によると、血漿レプチン値は、年齢や性などの他の因子とは独立して、HRVパラメータとの間に有意な逆相関が認められた。なお、こうした血漿レプチン値とHRVパラメータとの関連性は、糖尿病既往のない対象群では認められなかったという。. 同氏らは、「2型糖尿病や肥満患者において、高レプチン血症が心血管系の自律神経障害の予測因子となる可能性がある」と結論。「今回の臨床研究で糖尿病患者の自律神経障害に関する病態の理解が一歩進んだ」と述べるとともに、「レプチンが自律神経障害のバイオマーカーのひとつであるのか、病態制御の標的因子になりうるのか、HSCAAコホート研究の追跡と今後の介入研究により明らかにしていきたい」と期待を述べている。(HealthDay Japan 2015年9月15日). Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.
2型糖尿病や肥満患者では、血漿レプチン高値が心血管系自律神経障害の予測因子となる可能性が、兵庫医科大学糖尿病・内分泌・代謝内科の藏城雅文氏、小山英則氏らの検討でわかった。詳細は、「Cardiovascular Diabeteology」9月4日号に掲載された。 糖尿病合併症のひとつとされる心血管系の自律神経機能障害は、進行すると予後が悪化し、突然死のリスクも上昇する。これまで内臓脂肪の蓄積が心血管系の自律神経障害に悪影響を及ぼすことが報告されてきたが、その機序は明らかにされていなかった。. 最近の基礎研究で、脂肪細胞由来のホルモンであるレプチンが、視床下部背内側核を介して自律神経機能を修飾する可能性が報告された。同氏らの研究グループはこの血漿レプチンに着目し、2型糖尿病患者を対象に、血漿レプチン値や内臓脂肪蓄積と心血管系自律神経機能との関連を検証する横断研究を行った。. 対象は、同氏らが遂行しているHSCAA(Hyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis)コホート研究(Atherosclerosis 2015; 238: 409-414)に登録された2型糖尿病患者と、年齢・性を一致させた2型糖尿病既往のない心血管疾患リスク因子保有者それぞれ100人。典型的な心血管リスク因子のほか、血漿レプチン値とレプチン受容体の発現レベル、内臓脂肪面積(VFA)、心拍数変動(HRV)を比較検討した。. その結果、2型糖尿病患者においてVFAおよび血漿レプチン値はHRVパラメータとの間にそれぞれ有意な逆相関が認められた(レプチン受容体発現レベルには関連性なし)。多変量回帰分析によると、血漿レプチン値は、年齢や性などの他の因子とは独立して、HRVパラメータとの間に有意な逆相関が認められた。なお、こうした血漿レプチン値とHRVパラメータとの関連性は、糖尿病既往のない対象群では認められなかったという。. 同氏らは、「2型糖尿病や肥満患者において、高レプチン血症が心血管系の自律神経障害の予測因子となる可能性がある」と結論。「今回の臨床研究で糖尿病患者の自律神経障害に関する病態の理解が一歩進んだ」と述べるとともに、「レプチンが自律神経障害のバイオマーカーのひとつであるのか、病態制御の標的因子になりうるのか、HSCAAコホート研究の追跡と今後の介入研究により明らかにしていきたい」と期待を述べている。(HealthDay Japan 2015年9月15日). Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.