妊娠初期にポリ塩化ビフェニル(PCB)に曝露されると、妊娠糖尿病の発症率が高まることが新しい研究で示された。 近年、残留性有機汚染物質(POP)と代謝性の健康障害に関連があることを示唆するエビデンスが相次いで報告されており、今回の知見はそれに追加されるもの。研究者らは、「世界各国で妊娠糖尿病の有病率増加に対処しているが、環境因子を修正することでこの増加を止められる可能性もあり、今回の知見は公衆衛生的観点から重要だ」と述べている。. DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の分解物であるDDE(ジクロロジフェニルジクロロエチレン)やHCB(ヘキサクロロベンゼン)は人工的な化学物質であり、殺虫剤として広く用いられた一方、PCBはおもに工業的な目的で用いられていた。どの化学物質も数十年間使用が禁止されているが、分解されにくく自然界に残留した結果、ヒトや動物の体内に蓄積しているとされる。今回の研究は、これらのPOPへの妊娠初期の曝露と、妊娠糖尿病との関連性を検討した。. 米国糖尿病協会(ADA)によると、妊娠糖尿病は妊娠中に発症するもので、その多くは出産後に血糖値は正常化するが、将来の2型糖尿病発症リスクが高まるという。. ギリシャ・クレタ大学のLeda Chatzi氏らが行った今回の研究は、クレタ島のMother-Child Cohortにおけるギリシャ人女性640人を対象としたもの。2007年2月から1年間に妊娠した女性が参加し、妊娠中および出産後7年間追跡された。対象者には血中有機汚染物質の濃度を測定し、妊娠24~28週に妊娠糖尿病のスクリーニング検を行った。. その結果、対象のうち7%が妊娠糖尿病と診断された。妊娠前のBMIを調整後の解析により、PCB曝露量の総計が10倍であると妊娠糖尿病の発症リスクが4.4倍に上昇することがわかった。ただし、妊娠初期のDDEやHCBへの曝露については、妊娠糖尿病リスクとの関連は認められなかった。しかし、同氏らは、今回はPCB曝露と妊娠糖尿病との関連が示されたが、因果関係を示すものではないとしている。. 同氏らは、「今回の知見は、妊娠初期にPCB曝露量が高値の女性は妊娠糖尿病の発症リスクが高まる可能性を示唆するものであり、この結果を再現し、生物学的な機序を解明するためのさらなる研究の実施が必要だ」と結論。さらに、「今後、このコホートで、出生前のPOPへの曝露が小児期の血糖代謝や糖尿病の変化に関連するかどうかを検証する予定だ」と付言している。. 今回の知見は、スウェーデン・ストックホルムで開催された第51回欧州糖尿病学会議(EASD)年次集会で報告された。なお、学会で発表されたデータや結論は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2015年9月16日). http://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/exposure-to-organic-pollutants-linked-to-gestational-diabetes-703284.html Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.
妊娠初期にポリ塩化ビフェニル(PCB)に曝露されると、妊娠糖尿病の発症率が高まることが新しい研究で示された。 近年、残留性有機汚染物質(POP)と代謝性の健康障害に関連があることを示唆するエビデンスが相次いで報告されており、今回の知見はそれに追加されるもの。研究者らは、「世界各国で妊娠糖尿病の有病率増加に対処しているが、環境因子を修正することでこの増加を止められる可能性もあり、今回の知見は公衆衛生的観点から重要だ」と述べている。. DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の分解物であるDDE(ジクロロジフェニルジクロロエチレン)やHCB(ヘキサクロロベンゼン)は人工的な化学物質であり、殺虫剤として広く用いられた一方、PCBはおもに工業的な目的で用いられていた。どの化学物質も数十年間使用が禁止されているが、分解されにくく自然界に残留した結果、ヒトや動物の体内に蓄積しているとされる。今回の研究は、これらのPOPへの妊娠初期の曝露と、妊娠糖尿病との関連性を検討した。. 米国糖尿病協会(ADA)によると、妊娠糖尿病は妊娠中に発症するもので、その多くは出産後に血糖値は正常化するが、将来の2型糖尿病発症リスクが高まるという。. ギリシャ・クレタ大学のLeda Chatzi氏らが行った今回の研究は、クレタ島のMother-Child Cohortにおけるギリシャ人女性640人を対象としたもの。2007年2月から1年間に妊娠した女性が参加し、妊娠中および出産後7年間追跡された。対象者には血中有機汚染物質の濃度を測定し、妊娠24~28週に妊娠糖尿病のスクリーニング検を行った。. その結果、対象のうち7%が妊娠糖尿病と診断された。妊娠前のBMIを調整後の解析により、PCB曝露量の総計が10倍であると妊娠糖尿病の発症リスクが4.4倍に上昇することがわかった。ただし、妊娠初期のDDEやHCBへの曝露については、妊娠糖尿病リスクとの関連は認められなかった。しかし、同氏らは、今回はPCB曝露と妊娠糖尿病との関連が示されたが、因果関係を示すものではないとしている。. 同氏らは、「今回の知見は、妊娠初期にPCB曝露量が高値の女性は妊娠糖尿病の発症リスクが高まる可能性を示唆するものであり、この結果を再現し、生物学的な機序を解明するためのさらなる研究の実施が必要だ」と結論。さらに、「今後、このコホートで、出生前のPOPへの曝露が小児期の血糖代謝や糖尿病の変化に関連するかどうかを検証する予定だ」と付言している。. 今回の知見は、スウェーデン・ストックホルムで開催された第51回欧州糖尿病学会議(EASD)年次集会で報告された。なお、学会で発表されたデータや結論は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2015年9月16日). http://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/exposure-to-organic-pollutants-linked-to-gestational-diabetes-703284.html Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.