2型糖尿病患者では、皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多い状態は、動脈硬化の進展と強く関連することが、東京医科歯科大学糖尿病・内分泌・代謝内科の坊内良太郎氏らの検討でわかった。同時に、皮下脂肪が多いと動脈硬化の進展に保護的に働く可能性も示されたという。詳細は、「Cardiovascular Diabetology」10月7日オンライン版に掲載された。 脂肪組織のうち「内臓脂肪」の過剰な蓄積は、BMIやウエスト周囲長よりも、動脈硬化の進展や心血管リスクと強く関連する一方で、「皮下脂肪」には、糖尿病や脂質異常症などの心血管系代謝リスクに保護的な影響を及ぼすことが報告されている。. では、皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多い状態では、動脈硬化リスクにどういった影響を及ぼすのか-。坊内氏らは、この点に着目し、2型糖尿病患者を対象に、内臓脂肪量と皮下脂肪量のバランスの差で動脈硬化リスクに及ぼす影響が異なるかを検証する横断研究を行った。. 同氏らは、2型糖尿病患者148人(平均年齢65歳、女性が約45%)を対象に、腹部CT画像を用いて内臓脂肪面積(VFA)と皮下脂肪面積(SFA)を評価した。動脈硬化の指標には、超音波検査で評価した頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)を用いた。. 対象を、(1)低SFA(100cm2未満)+低VFA(100cm2未満)のS(-)V(-)群と(2)高SFA(100cm2以上)+低VFAのS(+)V(-)群、(3)低SFA+高SFAのS(-)V(+)群、(4)高SFA+高SFAのS(+)V(+)群-の4群に分けて、動脈硬化リスクとの関連を検討した。. その結果、対象のうち16.3%が、皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多いS(-)V(+)群だった。年齢や性を補正後のCIMT平均値は、S(-)V(-)群、S(+)V(-)群、S(-)V(+)群、S(+)V(+)群でそれぞれ0.80、0.86、1.28、0.83と、S(-)V(+)群で有意に高値を示した(P<0.001)。重回帰分析によると、S(-)V(+)とCIMTの間には有意な関連がみられたが、S(+)V(+)はCIMTと逆相関を示すことがわかった。. また、S(-)V(+)群では、S(-)V(-)群およびS(+)V(+)群に比べて高齢で、4群のなかで最もVFA/SFA比が高かった。なお、S(-)V(+)群はすべて男性だったのに対し、S(+)V(-)群は女性が約8割を占めていたという。. 同氏らは、HealthDayの取材に応じ、今回の研究の意義や今後の展望について、「糖尿病患者の動脈硬化リスクの評価に関して、BMIや腹囲には限界があり、内臓脂肪および皮下脂肪の測定が重要であることが示された。ただし、本研究は横断面研究であり、実際に皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多い状態が動脈硬化の進展と関連するかは縦断的な検討が必要だ」と話している。(HealthDay News 2015年10月15日). Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.
2型糖尿病患者では、皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多い状態は、動脈硬化の進展と強く関連することが、東京医科歯科大学糖尿病・内分泌・代謝内科の坊内良太郎氏らの検討でわかった。同時に、皮下脂肪が多いと動脈硬化の進展に保護的に働く可能性も示されたという。詳細は、「Cardiovascular Diabetology」10月7日オンライン版に掲載された。 脂肪組織のうち「内臓脂肪」の過剰な蓄積は、BMIやウエスト周囲長よりも、動脈硬化の進展や心血管リスクと強く関連する一方で、「皮下脂肪」には、糖尿病や脂質異常症などの心血管系代謝リスクに保護的な影響を及ぼすことが報告されている。. では、皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多い状態では、動脈硬化リスクにどういった影響を及ぼすのか-。坊内氏らは、この点に着目し、2型糖尿病患者を対象に、内臓脂肪量と皮下脂肪量のバランスの差で動脈硬化リスクに及ぼす影響が異なるかを検証する横断研究を行った。. 同氏らは、2型糖尿病患者148人(平均年齢65歳、女性が約45%)を対象に、腹部CT画像を用いて内臓脂肪面積(VFA)と皮下脂肪面積(SFA)を評価した。動脈硬化の指標には、超音波検査で評価した頸動脈内膜中膜複合体厚(CIMT)を用いた。. 対象を、(1)低SFA(100cm2未満)+低VFA(100cm2未満)のS(-)V(-)群と(2)高SFA(100cm2以上)+低VFAのS(+)V(-)群、(3)低SFA+高SFAのS(-)V(+)群、(4)高SFA+高SFAのS(+)V(+)群-の4群に分けて、動脈硬化リスクとの関連を検討した。. その結果、対象のうち16.3%が、皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多いS(-)V(+)群だった。年齢や性を補正後のCIMT平均値は、S(-)V(-)群、S(+)V(-)群、S(-)V(+)群、S(+)V(+)群でそれぞれ0.80、0.86、1.28、0.83と、S(-)V(+)群で有意に高値を示した(P<0.001)。重回帰分析によると、S(-)V(+)とCIMTの間には有意な関連がみられたが、S(+)V(+)はCIMTと逆相関を示すことがわかった。. また、S(-)V(+)群では、S(-)V(-)群およびS(+)V(+)群に比べて高齢で、4群のなかで最もVFA/SFA比が高かった。なお、S(-)V(+)群はすべて男性だったのに対し、S(+)V(-)群は女性が約8割を占めていたという。. 同氏らは、HealthDayの取材に応じ、今回の研究の意義や今後の展望について、「糖尿病患者の動脈硬化リスクの評価に関して、BMIや腹囲には限界があり、内臓脂肪および皮下脂肪の測定が重要であることが示された。ただし、本研究は横断面研究であり、実際に皮下脂肪が少なく内臓脂肪が多い状態が動脈硬化の進展と関連するかは縦断的な検討が必要だ」と話している。(HealthDay News 2015年10月15日). Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.