国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学予防研究部の南里明子氏らは、性や年齢、BMIなどの因子を用いた非侵襲的で簡便な、3年以内の2型糖尿病発症を予測する糖尿病リスクスコアを開発したと報告した。詳細は「PLOS ONE」11月11日オンライン版に掲載された。. 2型糖尿病の発症リスクを予測する糖尿病リスクスコアは、高リスク者の特定に有用とされ、日本ではこれまでに3つの研究で開発されている。しかし、今回の研究は、職域で大規模であること、40歳以下の若年層が含まれていること、一般的な定期健診の項目を用いているという点で、先行研究にはない特徴がある。. 南里氏ら研究グループは、日本の労働者を対象とした職域多施設研究であるJapan Epidemiology Collaboration on Occupational Health(J-ECOH)スタディ参加者中、若年者を含む30歳以上の成人男女3万7,416人を対象に、健診で収集可能な情報だけを用いて、3年以内の2型糖尿病発症リスクを予測するリスクスコア開発を試みた。なお、同氏によると、今回の研究は労働者集団を対象としているため、職域で利用できるとしている。. 対象の登録基準は、ベースラインの2008~2009年から3年間に少なくとも1回健診を受けた人とし、ベースライン時に糖尿病既往がある人は除外した。糖尿病診断の定義は、空腹時血糖値(FPG)126mg/dL以上、または随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c値6.5%以上、あるいは糖尿病治療薬を服用中とした。. リスクスコアの作成には、以下の変数を用いた。(1)性、(2)年齢(30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)、(3)BMI(21.0未満、21.0~22.9、23.0~24.9未満、25.0~26.9、27.0~28.9、29.0以上)、(4)腹部肥満(男性90cm以上、女性80cm以上)の有無、(5)現在の喫煙歴の有無、(6)高血圧既往の有無-これらを用いた非侵襲モデルに加えて、(6)FPG値(100mg/dL未満、100~109mg/dL、110~125mg/dL)、(9)HbA1c値(5.6%未満、5.6~5.9%、6.0~6.4%)を加えた侵襲モデルも作成した。. 非侵襲モデルと、FPGのみを加えた侵襲モデル、HbA1cのみを加えた侵襲モデル 、両者を加えた侵襲モデルの4パターンで2型糖尿病発症の予測能を比較したところ、非侵襲モデルに比べて、FPGおよび/またはHbA1cを加えることで予測精度が向上することがわかった。ROC曲線下面積は、非侵襲モデルの0.717に対し、FPGとHbA1cの両者を加えると0.893に増加。HbA1cのみを加えた場合に比べて、FPGのみを加えた場合のほうがROC曲線下面積は大きかった(0.843対0.827)。. 以上から、同氏らは「年齢や性、BMIなどの非侵襲的な因子を用いた2型糖尿病リスクの予測能は高いが、FPGおよびHbA1cを加えることで予測精度はさらに向上することがわかった」と結論。HealthDayの取材に応じ、同氏は「このリスクスコアを用いることで、2型糖尿病の高リスク者を同定し、介入を行うことで、糖尿病発症の予防に役立てることができる」と述べている。(HealthDay News 2015年11月18日). Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.
国立国際医療研究センター臨床研究センター疫学予防研究部の南里明子氏らは、性や年齢、BMIなどの因子を用いた非侵襲的で簡便な、3年以内の2型糖尿病発症を予測する糖尿病リスクスコアを開発したと報告した。詳細は「PLOS ONE」11月11日オンライン版に掲載された。. 2型糖尿病の発症リスクを予測する糖尿病リスクスコアは、高リスク者の特定に有用とされ、日本ではこれまでに3つの研究で開発されている。しかし、今回の研究は、職域で大規模であること、40歳以下の若年層が含まれていること、一般的な定期健診の項目を用いているという点で、先行研究にはない特徴がある。. 南里氏ら研究グループは、日本の労働者を対象とした職域多施設研究であるJapan Epidemiology Collaboration on Occupational Health(J-ECOH)スタディ参加者中、若年者を含む30歳以上の成人男女3万7,416人を対象に、健診で収集可能な情報だけを用いて、3年以内の2型糖尿病発症リスクを予測するリスクスコア開発を試みた。なお、同氏によると、今回の研究は労働者集団を対象としているため、職域で利用できるとしている。. 対象の登録基準は、ベースラインの2008~2009年から3年間に少なくとも1回健診を受けた人とし、ベースライン時に糖尿病既往がある人は除外した。糖尿病診断の定義は、空腹時血糖値(FPG)126mg/dL以上、または随時血糖値200mg/dL以上、HbA1c値6.5%以上、あるいは糖尿病治療薬を服用中とした。. リスクスコアの作成には、以下の変数を用いた。(1)性、(2)年齢(30~39歳、40~49歳、50~59歳、60歳以上)、(3)BMI(21.0未満、21.0~22.9、23.0~24.9未満、25.0~26.9、27.0~28.9、29.0以上)、(4)腹部肥満(男性90cm以上、女性80cm以上)の有無、(5)現在の喫煙歴の有無、(6)高血圧既往の有無-これらを用いた非侵襲モデルに加えて、(6)FPG値(100mg/dL未満、100~109mg/dL、110~125mg/dL)、(9)HbA1c値(5.6%未満、5.6~5.9%、6.0~6.4%)を加えた侵襲モデルも作成した。. 非侵襲モデルと、FPGのみを加えた侵襲モデル、HbA1cのみを加えた侵襲モデル 、両者を加えた侵襲モデルの4パターンで2型糖尿病発症の予測能を比較したところ、非侵襲モデルに比べて、FPGおよび/またはHbA1cを加えることで予測精度が向上することがわかった。ROC曲線下面積は、非侵襲モデルの0.717に対し、FPGとHbA1cの両者を加えると0.893に増加。HbA1cのみを加えた場合に比べて、FPGのみを加えた場合のほうがROC曲線下面積は大きかった(0.843対0.827)。. 以上から、同氏らは「年齢や性、BMIなどの非侵襲的な因子を用いた2型糖尿病リスクの予測能は高いが、FPGおよびHbA1cを加えることで予測精度はさらに向上することがわかった」と結論。HealthDayの取材に応じ、同氏は「このリスクスコアを用いることで、2型糖尿病の高リスク者を同定し、介入を行うことで、糖尿病発症の予防に役立てることができる」と述べている。(HealthDay News 2015年11月18日). Copyright (c) 2015 HealthDay. All rights reserved.