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「血栓を溶かす」薬であるt-PAが「脳出血」の治療に有用?(2016.2.25掲載)

組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)と呼ばれる強力な血栓溶解薬が、出血性脳卒中に有効であるという「直感に反する」研究結果が示された。

米国脳卒中協会(ASA)によると、脳卒中のうち脳内の出血に起因するものは15%で、残りの85%は血栓に起因するものだという。脳の血栓を分解させるためにt-PAを用いることは理にかなっているが、脳出血に同じ薬剤を用いるのは逆効果であるように思われる。

ところが、先ごろ米ロサンゼルスで開催されたASA年次集会では、t-PAが脳出血にも有用である可能性を示唆する2件の研究が発表された。いずれも米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)の支援により実施された研究であった。

第1の研究では、世界73カ所の病院で脳出血の治療を受けた患者500人を対象とした。米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルチモア)のDaniel Hanley氏率いる研究グループは、脳室にt-PAを投与すると、脳出血による死亡率が10%低減し、重度の身体障害を来す患者の増加はみられないことを明らかにした。医師らは、脳出血により脳室内に貯留した血液を除去する目的でt-PAを使用したと説明している。この手技は安全性に優れ、脳感染症などの重篤な副作用の発生率は標準治療と同等以下であるという。

第2の研究では、米シカゴ大学のIssam Awad氏らが、脳室内で生じた脳出血の治療におけるt-PA投与の有効性について調べるため、約500人の患者にt-PAまたは生理食塩水のいずれかを投与した。その結果、脳室への血液貯留が少量の患者では、t-PA治療による便益はみられなかったが、血液貯留が多量にみられた患者では、t-PA治療によって脳卒中後の身体機能転帰が良好である比率がほぼ2倍となった。また、t-PAを複数回投与すると、さらに多量の血液を脳から除去することができた。

米ノースショア大学病院(ニューヨーク州)のPaul Wright氏は、この2件の研究結果は予想外だが、重要である可能性があると述べている。「t-PAにより血液の90%を除去できれば、良好な機能回復が得られる確率が2倍となることが示された」と同氏は述べ、これまで脳出血の治療は非常に限られていたが、この新たな研究は、転帰の向上を可能にする治療介入を確立するものだと指摘している。

ただし、学会発表された研究は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなす必要がある。(HealthDay News 2016年2月18日)

http://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/could-a-clot-busting-drug-help-treat-a-bleeding-stroke-708195.html
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