職場の健康増進プログラムで、肥満の従業員の運動量を増やすには、報酬よりも罰金のほうが効果的である可能性が、新たな研究で示された。1日7,000歩の目標達成で金銭的な報酬を得るよりも、達成できなかった日に前払い金から罰金を差し引かれるほうが、従業員の目標達成率が高かったという。. この結果は、従業員が健康的な習慣を受け入れる上で、「損失回避(loss aversion)」という心理的概念が、単純な金銭的報酬よりも強い動機づけになることを表すもので、「人間は意志決定する際、獲得よりも損失を重視する傾向がある」と、研究を主導した米ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)助教授のMitesh Patel氏は述べている。. この知見は、「Annals of Internal Medicine」オンライン版に2月16日掲載された。. 今回、同氏らは、BMI 27以上の過体重または肥満の従業員281人を対象に、1日7,000歩を目標とする健康増進プログラムを13週間行った。. 対象者を、(1)目標達成日に1.40ドル(約155円)、月に最大42ドル(約4,660円)を受け取る賞金群と、(2)達成できない日に前払いした42ドルから1.40ドル差し引かれる罰金群、(3)目標達成日に賞金5ドル(約555円)または50ドル(約5,550円)のくじ引きを行う群、(4)報酬は受け取らず、万歩計とフィードバックのみを受けとる対照群-の4群にランダムに割り付けた。 その結果、目標達成率は、対照群で30%、賞金群とくじ引き群は35%と、これらの3群間では同程度の成績だったのに対し、罰金群の目標達成率は45%と、対照群に比べて50%も達成率が高かった。. 米ランド研究所のSoeren Mattke氏は「この知見は、人間の行動学に一致している。人間の心理には獲得よりも損失による影響のほうが大きいことは経済学ではよく知られている現象だ」と述べる一方で、企業と従業員との関係上、罰金制は後味が悪く、実際に罰金制のプログラムを実施するのは難しい点を指摘している。. Patel氏によると、これまでの研究で、従業員の禁煙や減量プログラムに「損失回避」の視点を取り入れると有効な結果が得られることが示されているという。同氏は、今回の研究の対照群では目標達成率が低かったことからも、「従業員の行動変容には、何らかの金銭的なインセンティブが必要だろう」との見解を示している。(HealthDay News 2016年2月15日). http://consumer.healthday.com/fitness-information-14/misc-health-news-265/sticks-not-carrots-may-work-best-to-boost-employees-health-study-708090.html Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
職場の健康増進プログラムで、肥満の従業員の運動量を増やすには、報酬よりも罰金のほうが効果的である可能性が、新たな研究で示された。1日7,000歩の目標達成で金銭的な報酬を得るよりも、達成できなかった日に前払い金から罰金を差し引かれるほうが、従業員の目標達成率が高かったという。. この結果は、従業員が健康的な習慣を受け入れる上で、「損失回避(loss aversion)」という心理的概念が、単純な金銭的報酬よりも強い動機づけになることを表すもので、「人間は意志決定する際、獲得よりも損失を重視する傾向がある」と、研究を主導した米ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)助教授のMitesh Patel氏は述べている。. この知見は、「Annals of Internal Medicine」オンライン版に2月16日掲載された。. 今回、同氏らは、BMI 27以上の過体重または肥満の従業員281人を対象に、1日7,000歩を目標とする健康増進プログラムを13週間行った。. 対象者を、(1)目標達成日に1.40ドル(約155円)、月に最大42ドル(約4,660円)を受け取る賞金群と、(2)達成できない日に前払いした42ドルから1.40ドル差し引かれる罰金群、(3)目標達成日に賞金5ドル(約555円)または50ドル(約5,550円)のくじ引きを行う群、(4)報酬は受け取らず、万歩計とフィードバックのみを受けとる対照群-の4群にランダムに割り付けた。 その結果、目標達成率は、対照群で30%、賞金群とくじ引き群は35%と、これらの3群間では同程度の成績だったのに対し、罰金群の目標達成率は45%と、対照群に比べて50%も達成率が高かった。. 米ランド研究所のSoeren Mattke氏は「この知見は、人間の行動学に一致している。人間の心理には獲得よりも損失による影響のほうが大きいことは経済学ではよく知られている現象だ」と述べる一方で、企業と従業員との関係上、罰金制は後味が悪く、実際に罰金制のプログラムを実施するのは難しい点を指摘している。. Patel氏によると、これまでの研究で、従業員の禁煙や減量プログラムに「損失回避」の視点を取り入れると有効な結果が得られることが示されているという。同氏は、今回の研究の対照群では目標達成率が低かったことからも、「従業員の行動変容には、何らかの金銭的なインセンティブが必要だろう」との見解を示している。(HealthDay News 2016年2月15日). http://consumer.healthday.com/fitness-information-14/misc-health-news-265/sticks-not-carrots-may-work-best-to-boost-employees-health-study-708090.html Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.