英国の大規模研究から、糖尿病治療薬の単独あるいは併用投与には、それぞれベネフィットとリスクを伴うことが示された。 この研究は、2007~2015年に、約47万人の成人2型糖尿病患者を追跡したもの。英ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏とCarol Coupland氏は、現在使用可能な糖尿病治療薬のベネフィットとリスクを検討する観察研究を行った。年齢や性、喫煙、糖尿病罹病期間など複数の因子により調整したうえで、糖尿病の5つの転帰(失明、下肢切断、重篤な腎不全、高血糖、低血糖)に焦点を当てて解析した。. 「BMJ」オンライン版に3月30日掲載された今回の研究によると、メトホルミン単独投与に比べて、チアゾリジン系薬(ピオグリタゾンなど)を併用すると腎不全リスクが高いことがわかった。メトホルミンとDPP-4阻害薬(シタグリプチン、サキサグリプチンなど)を併用した場合も同様に、腎不全リスクが高かった。一方で、メトホルミンとこれらの薬剤を併用すると、メトホルミン単独に比べて高血糖リスクが有意に低いというメリットもあることが判明した。. また、メトホルミンとDPP-4阻害薬またはチアゾリジン系薬、スルホニル尿素(SU)薬の3剤を併用すると、メトホルミン単独に比べて重篤な低血糖リスクが有意に高かったが、糖尿病合併症としての失明リスクは低いこともわかった。. 今回の研究では、これらの治療法と臨床転帰の因果関係は証明されていないが、糖尿病治療は「誰にでも当てはまるもの」ではないとする見解を支持するものだという。米ノースウェル・ヘルス・サウスサイド病院(ニューヨーク州)のRobert Courgi氏は、「2型糖尿病治療の標準的なガイドラインでは、第一選択肢にメトホルミンが推奨されているが、実臨床では併用薬を必要とするケースが多い。糖尿病治療薬には利点に加えてリスクも伴う点を医師と患者の双方が理解する必要がある」と述べている。. 米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)でフリードマン糖尿病プログラムを担当するGerald Bernstein氏によると、2型糖尿病の治療は、単に薬剤で血糖値を下げるのではなく、生活習慣の改善や複数の薬剤を併用するなど、複雑なものへと進化を続けてきたという。「今ある治療選択肢は、治療標的や効果がそれぞれ異なっている。これらをうまく組み合わせることで、糖尿病合併症の進展を予防し、患者QOLをいかに向上していくかが、今日の糖尿病治療の目標だ」と、同氏は述べている。(HealthDay News 2016年3月31日). http://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/diabetes-meds-vary-in-safety-and-effectiveness-study-shows-709530.html. Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
英国の大規模研究から、糖尿病治療薬の単独あるいは併用投与には、それぞれベネフィットとリスクを伴うことが示された。 この研究は、2007~2015年に、約47万人の成人2型糖尿病患者を追跡したもの。英ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏とCarol Coupland氏は、現在使用可能な糖尿病治療薬のベネフィットとリスクを検討する観察研究を行った。年齢や性、喫煙、糖尿病罹病期間など複数の因子により調整したうえで、糖尿病の5つの転帰(失明、下肢切断、重篤な腎不全、高血糖、低血糖)に焦点を当てて解析した。. 「BMJ」オンライン版に3月30日掲載された今回の研究によると、メトホルミン単独投与に比べて、チアゾリジン系薬(ピオグリタゾンなど)を併用すると腎不全リスクが高いことがわかった。メトホルミンとDPP-4阻害薬(シタグリプチン、サキサグリプチンなど)を併用した場合も同様に、腎不全リスクが高かった。一方で、メトホルミンとこれらの薬剤を併用すると、メトホルミン単独に比べて高血糖リスクが有意に低いというメリットもあることが判明した。. また、メトホルミンとDPP-4阻害薬またはチアゾリジン系薬、スルホニル尿素(SU)薬の3剤を併用すると、メトホルミン単独に比べて重篤な低血糖リスクが有意に高かったが、糖尿病合併症としての失明リスクは低いこともわかった。. 今回の研究では、これらの治療法と臨床転帰の因果関係は証明されていないが、糖尿病治療は「誰にでも当てはまるもの」ではないとする見解を支持するものだという。米ノースウェル・ヘルス・サウスサイド病院(ニューヨーク州)のRobert Courgi氏は、「2型糖尿病治療の標準的なガイドラインでは、第一選択肢にメトホルミンが推奨されているが、実臨床では併用薬を必要とするケースが多い。糖尿病治療薬には利点に加えてリスクも伴う点を医師と患者の双方が理解する必要がある」と述べている。. 米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)でフリードマン糖尿病プログラムを担当するGerald Bernstein氏によると、2型糖尿病の治療は、単に薬剤で血糖値を下げるのではなく、生活習慣の改善や複数の薬剤を併用するなど、複雑なものへと進化を続けてきたという。「今ある治療選択肢は、治療標的や効果がそれぞれ異なっている。これらをうまく組み合わせることで、糖尿病合併症の進展を予防し、患者QOLをいかに向上していくかが、今日の糖尿病治療の目標だ」と、同氏は述べている。(HealthDay News 2016年3月31日). http://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/diabetes-meds-vary-in-safety-and-effectiveness-study-shows-709530.html. Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.