細胞接着分子である「ACAM」が、メタボリックシンドロームと2型糖尿病の発症を予防する機序を解明したと、岡山大学大学院腎・免疫内分泌代謝内科学の和田淳氏らの研究グループが発表した。ACAMは、これらの疾患の新しい予防・治療標的になるものと期待される。詳細は「Diabetes」3月8日オンライン版に掲載された。 ACAM(adipocyte adhesion molecule)は、同氏らの研究グループが2005年に、肥満ラットの内臓脂肪組織から発見した分子で、細胞同士の接着を担う分子のひとつ(Biochem J 2005; 387: 343–353)。. 同氏らは今回、脂肪細胞のACAMを増やしたトランスジェニックマウスを作製し、高脂肪・高ショ糖食を摂取させて飼育したところ、こうしたマウスではメタボリックシンドロームや糖尿病の発症を予防できることがわかった。. 同氏らが、トランスジェニックマウスにおける脂肪細胞の接着部位を電子顕微鏡下で観察した結果、この接着部位にはACAMと細胞内骨格分子であるアクチンが存在していることが見いだされた。研究グループによると、マウスの脂肪細胞同士がACAMによって接着すると、接着部分にアクチンが重合して細胞膜の下に表層アクチンを形成するが、この接着帯が形成されると、脂肪細胞の肥大化抑制やインスリン感受性の改善に働き、その結果、肥満や糖尿病の予防につながるとの機序が明らかになったという。. 和田氏は、メタボリックシンドロームや2型糖尿病に伴う脳心血管疾患の予防は、健康増進のための重要課題のひとつだとしつつ、「ACAMを用いた肥満と糖代謝を改善する新しい治療法の開発につなげたい」と期待を述べている。(HealthDay News 2016年4月18日). Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
細胞接着分子である「ACAM」が、メタボリックシンドロームと2型糖尿病の発症を予防する機序を解明したと、岡山大学大学院腎・免疫内分泌代謝内科学の和田淳氏らの研究グループが発表した。ACAMは、これらの疾患の新しい予防・治療標的になるものと期待される。詳細は「Diabetes」3月8日オンライン版に掲載された。 ACAM(adipocyte adhesion molecule)は、同氏らの研究グループが2005年に、肥満ラットの内臓脂肪組織から発見した分子で、細胞同士の接着を担う分子のひとつ(Biochem J 2005; 387: 343–353)。. 同氏らは今回、脂肪細胞のACAMを増やしたトランスジェニックマウスを作製し、高脂肪・高ショ糖食を摂取させて飼育したところ、こうしたマウスではメタボリックシンドロームや糖尿病の発症を予防できることがわかった。. 同氏らが、トランスジェニックマウスにおける脂肪細胞の接着部位を電子顕微鏡下で観察した結果、この接着部位にはACAMと細胞内骨格分子であるアクチンが存在していることが見いだされた。研究グループによると、マウスの脂肪細胞同士がACAMによって接着すると、接着部分にアクチンが重合して細胞膜の下に表層アクチンを形成するが、この接着帯が形成されると、脂肪細胞の肥大化抑制やインスリン感受性の改善に働き、その結果、肥満や糖尿病の予防につながるとの機序が明らかになったという。. 和田氏は、メタボリックシンドロームや2型糖尿病に伴う脳心血管疾患の予防は、健康増進のための重要課題のひとつだとしつつ、「ACAMを用いた肥満と糖代謝を改善する新しい治療法の開発につなげたい」と期待を述べている。(HealthDay News 2016年4月18日). Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.