糖尿病網膜症(以下、網膜症)と糖尿病性糸球体硬化症を合併した2型糖尿病患者のうち、さらに微量アルブミン尿を伴う患者では腎機能低下が進展する可能性があることを、北里大学健康管理センターの守屋達美氏らが報告した。2型糖尿病患者では、網膜症と微量アルブミン尿の併存が、腎機能低下の予測因子になりうるとしている。詳細は、「Journal of Diabetes and its Complications」オンライン版に4月11日掲載された。2型糖尿病における網膜症と糖尿病性腎症の関連性について、同氏らは、JDCS(Japan Diabetic Complications Study)のサブ解析で、2型糖尿病患者において網膜症と微量アルブミン尿が併存すると、腎機能低下が顕著に進行することを既に報告している(Diabetes Care 2013; 36: 2803-2809)。今回、同氏らは、2型糖尿病患者の腎組織変化を腎生検により評価したうえで、網膜症と腎機能低下との関連を検討する観察研究を行った。.対象は、正常アルブミン尿~微量アルブミン尿を呈する2型糖尿病患者32人(男性23人、平均年齢49歳)。対象患者には腎生検を行い、網膜症を有する群(DR+群、19人)と網膜症をもたない群(DR-群、13人)の2群に分けて比較検討した。腎生検組織標本の検討は、電子顕微鏡によるメサンギウム拡大率の測定と光学顕微鏡による腎臓の組織障害パターンの分類を行った。.その結果、DR+群では、DR-群に比べてメサンギウム基質の増加を示すメサンギウム拡大率が有意に大で、光学顕微鏡による組織分類で典型的な糖尿病性糸球体硬化症の併存が確認された患者の割合が有意に高かった。DR+群では、メサンギウム拡大率と尿中アルブミン排泄量との間に正の相関が認められた。.網膜症と典型的な糖尿病性糸球体硬化症が併存した2型糖尿病患者が、さらに微量アルブミン尿を伴うと、糸球体濾過率(GFR)が追跡開始時から平均7.1年後で有意に低下したが、正常アルブミン尿の患者では、観察期間を通してGFRの低下はみられなかった。.今回の知見の重要性について、同氏は、2013年に報告したJDCSのサブ解析結果を腎組織変化の側面から裏づけた点を挙げつつ、「内科医は微量アルブミン尿期の患者を診たら網膜症の有無を確認し、眼科を受診していなければ受診させること。また、眼科医は網膜症患者を診たら、内科で尿検査がなされているかどうかを確認する必要がある。今回の結果を踏まえ、今まで以上に眼科-内科の連携が重要であると感じている」とコメントしている。(HealthDay News 2016年4月25日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
糖尿病網膜症(以下、網膜症)と糖尿病性糸球体硬化症を合併した2型糖尿病患者のうち、さらに微量アルブミン尿を伴う患者では腎機能低下が進展する可能性があることを、北里大学健康管理センターの守屋達美氏らが報告した。2型糖尿病患者では、網膜症と微量アルブミン尿の併存が、腎機能低下の予測因子になりうるとしている。詳細は、「Journal of Diabetes and its Complications」オンライン版に4月11日掲載された。2型糖尿病における網膜症と糖尿病性腎症の関連性について、同氏らは、JDCS(Japan Diabetic Complications Study)のサブ解析で、2型糖尿病患者において網膜症と微量アルブミン尿が併存すると、腎機能低下が顕著に進行することを既に報告している(Diabetes Care 2013; 36: 2803-2809)。今回、同氏らは、2型糖尿病患者の腎組織変化を腎生検により評価したうえで、網膜症と腎機能低下との関連を検討する観察研究を行った。.対象は、正常アルブミン尿~微量アルブミン尿を呈する2型糖尿病患者32人(男性23人、平均年齢49歳)。対象患者には腎生検を行い、網膜症を有する群(DR+群、19人)と網膜症をもたない群(DR-群、13人)の2群に分けて比較検討した。腎生検組織標本の検討は、電子顕微鏡によるメサンギウム拡大率の測定と光学顕微鏡による腎臓の組織障害パターンの分類を行った。.その結果、DR+群では、DR-群に比べてメサンギウム基質の増加を示すメサンギウム拡大率が有意に大で、光学顕微鏡による組織分類で典型的な糖尿病性糸球体硬化症の併存が確認された患者の割合が有意に高かった。DR+群では、メサンギウム拡大率と尿中アルブミン排泄量との間に正の相関が認められた。.網膜症と典型的な糖尿病性糸球体硬化症が併存した2型糖尿病患者が、さらに微量アルブミン尿を伴うと、糸球体濾過率(GFR)が追跡開始時から平均7.1年後で有意に低下したが、正常アルブミン尿の患者では、観察期間を通してGFRの低下はみられなかった。.今回の知見の重要性について、同氏は、2013年に報告したJDCSのサブ解析結果を腎組織変化の側面から裏づけた点を挙げつつ、「内科医は微量アルブミン尿期の患者を診たら網膜症の有無を確認し、眼科を受診していなければ受診させること。また、眼科医は網膜症患者を診たら、内科で尿検査がなされているかどうかを確認する必要がある。今回の結果を踏まえ、今まで以上に眼科-内科の連携が重要であると感じている」とコメントしている。(HealthDay News 2016年4月25日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.