2型糖尿病に合併した治療抵抗性の高血圧に対して、微弱な周波数と低出力強度の超音波を照射するデバイス治療が高血圧の改善に有用な可能性が、東北大学大学院医工学研究科の野々垣勝則氏らの検討でわかった。超音波照射療法が高血圧治療の選択肢となりうる可能性があるという。詳細は「International Journal of Cardiology」オンライン版に4月14日掲載された。同氏らは、微弱な周波数(800kHz)と低出力強度(2mW/cm2)の超音波を安定して固定照射するデバイスを開発。2013年には、日本人の高血圧患者を対象に、このデバイスを用いて超音波を前腕に30分間照射し、末梢の血管抵抗を引き起こすことなく血圧値と脈拍数を低下させたと報告している(Int J Cardiol 2013; 168: 1585-1586)。今回、同氏らは、2型糖尿病と高血圧を合併した患者を対象に、500kHzあるいは800kHzの周波数と25mW/cm2の強度による超音波照射療法の血圧値と脈拍数、脈圧への影響を検討した。.対象は、高血圧を合併した2型糖尿病患者212人(男性が82人、平均年齢は65歳)で、降圧薬を服用していても外来時に収縮期血圧(SBP)値が140mmHgを超えた者とした。.対象患者を(1)周波数800kHzの超音波照射群(89人)とプラセボ群(45人)、(2)周波数500kHzの超音波照射群とプラセボ群(それぞれ39人)の4群にランダムに割り付け、前腕に20分間照射したのちに血圧と脈拍数を測定した。.その結果、周波数800kHzの超音波照射群は、SBPおよび拡張期血圧(DBP)値、脈拍数、脈圧がいずれも照射前から有意に低下し、プラセボ群とも有意な差が認められた。周波数500kHzの超音波照射群も同様に、4つの評価項目はいずれも照射前から有意に低下し、SBP値、脈拍数、脈圧はプラセボ群に比べて有意に低下していた。SBP値の平均低下幅は、800kHz超音波照射群で23mmHg、周波数500kHzの超音波照射群では19mmHgだった。なお、超音波照射による有害事象は認められなかったという。.今回の知見について、同氏は「この超音波照射装置は、産学共同開発から超音波治療器『ニューロヒーラー』として医療機器登録されている。この機器を用いて白衣高血圧現象の鑑別または治療抵抗性高血圧の治療への応用を今後、確立したい」とコメントしている。(HealthDay News 2016年5月9日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
2型糖尿病に合併した治療抵抗性の高血圧に対して、微弱な周波数と低出力強度の超音波を照射するデバイス治療が高血圧の改善に有用な可能性が、東北大学大学院医工学研究科の野々垣勝則氏らの検討でわかった。超音波照射療法が高血圧治療の選択肢となりうる可能性があるという。詳細は「International Journal of Cardiology」オンライン版に4月14日掲載された。同氏らは、微弱な周波数(800kHz)と低出力強度(2mW/cm2)の超音波を安定して固定照射するデバイスを開発。2013年には、日本人の高血圧患者を対象に、このデバイスを用いて超音波を前腕に30分間照射し、末梢の血管抵抗を引き起こすことなく血圧値と脈拍数を低下させたと報告している(Int J Cardiol 2013; 168: 1585-1586)。今回、同氏らは、2型糖尿病と高血圧を合併した患者を対象に、500kHzあるいは800kHzの周波数と25mW/cm2の強度による超音波照射療法の血圧値と脈拍数、脈圧への影響を検討した。.対象は、高血圧を合併した2型糖尿病患者212人(男性が82人、平均年齢は65歳)で、降圧薬を服用していても外来時に収縮期血圧(SBP)値が140mmHgを超えた者とした。.対象患者を(1)周波数800kHzの超音波照射群(89人)とプラセボ群(45人)、(2)周波数500kHzの超音波照射群とプラセボ群(それぞれ39人)の4群にランダムに割り付け、前腕に20分間照射したのちに血圧と脈拍数を測定した。.その結果、周波数800kHzの超音波照射群は、SBPおよび拡張期血圧(DBP)値、脈拍数、脈圧がいずれも照射前から有意に低下し、プラセボ群とも有意な差が認められた。周波数500kHzの超音波照射群も同様に、4つの評価項目はいずれも照射前から有意に低下し、SBP値、脈拍数、脈圧はプラセボ群に比べて有意に低下していた。SBP値の平均低下幅は、800kHz超音波照射群で23mmHg、周波数500kHzの超音波照射群では19mmHgだった。なお、超音波照射による有害事象は認められなかったという。.今回の知見について、同氏は「この超音波照射装置は、産学共同開発から超音波治療器『ニューロヒーラー』として医療機器登録されている。この機器を用いて白衣高血圧現象の鑑別または治療抵抗性高血圧の治療への応用を今後、確立したい」とコメントしている。(HealthDay News 2016年5月9日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.