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CCTAを用いた2型糖尿病の「冠動脈狭窄」予測モデル式を開発-熊本大学の研究グループ(2016.5.23配信)

熊本大学病院医療情報経営企画部の吉田陽氏(医療法人社団陣内会 陣内病院 薬剤部)らは、冠動脈CT血管造影(coronary CT angiography:CCTA)で描出した有意な冠動脈病変(狭窄率50%以上)の情報をもとに、5つのリスク因子を用いて2型糖尿病患者の冠動脈狭窄を予測するモデル式を開発したと報告した。これらのリスク因子には、内膜中膜複合体厚(intima-media thickness:IMT)と足関節上腕血圧比(ankle brachial index:ABI)が含まれる。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」4月26日オンライン版に掲載された。

2型糖尿病患者は無症候性の心筋梗塞リスクが高いが、既往症や喫煙習慣などの従来のリスク因子だけでは冠動脈疾患の発症を十分に予測することは難しい。また、近年では、CCTAの普及に伴い、冠動脈狭窄病変が短時間で非侵襲的に描出されるようになってきた。そこで同氏らは、CCTAの情報をもとに、2型糖尿病の冠動脈狭窄リスクを評価する予測モデル式を開発した。

対象は、2007~2011年にCCTA検査を受けた40歳以上の陣内病院に通院中の2型糖尿病患者644人。(1)糖尿病罹病期間が10年以上、(2)HbA1c値が7%以上、(3)BMI 25以上、(4)喫煙歴および脂質異常症-のうちいずれかをもつ患者を対象とした。冠動脈狭窄率50%以上の病変を1つ以上有する場合を、「有意な冠動脈狭窄あり」と定義。対象患者を、CCTA実施期間にもとづき、2007~2009年の327人(derivation cohort)と2010~2011年の317人(validation cohort)にわけ、前者をもとに構築した予測モデル式の妥当性を後者で確認し、さらにモデル式の精度をUKPDSリスクエンジンと比較検討した。

その結果、derivation cohortの対象患者のうち198人(61%)が有意な冠動脈狭窄を有していた。ロジスティック回帰分析の結果、冠動脈狭窄と有意に関連する因子には、高血圧の合併、推定糸球体濾過量(eGFR)、max-IMT、ABI、糖尿病治療薬の使用の5つが浮かび上がった。

同氏らは、これら5つの予測因子を用いて、冠動脈狭窄病変の予測モデル式(Y=2.84+0.55×高血圧-0.02×eGFR+0.41×max IMT-0.24×ABI+0.84×糖尿病治療薬の使用)を作成。至適カットオフ値の妥当性をvalidation cohortのデータを用いて検証したところ、感度、特異度、陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV)はそれぞれ61%、67%、53%、73%であることがわかった。この予測モデル式の精度は、UKPDSリスクエンジンよりも高いことも判明したという。

同氏は、HealthDayの取材に応じ、「冠動脈疾患が進展してからの予後改善は今までの研究報告からも困難なことがわかってきている。2型糖尿病患者の冠動脈病変を早期に発見できれば、糖尿病治療だけでなく、脂質異常症の治療も厳格に行うことでプラークの退縮が期待できる。それにより、心血管イベントリスクが高い2型糖尿病患者の予後改善に寄与するのではないだろうか」と述べつつ、この予測モデル式は、2型糖尿病患者の冠動脈病変のスクリーニングに有用で、とくにCCTAが禁忌の患者や設備のない医療施設で活用できるのではないかとの見方を示している。(HealthDay News 2016年5月23日)

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