心疾患の危険因子を十分にコントロールできていない人は、薬剤師の助けを借りることで将来のリスクを低減できる可能性があることが、カナダの研究で示された。今回の研究では、地域の薬剤師が心筋梗塞と脳卒中のリスクの高い人を募集し、半数には薬剤師との連携による「薬物療法管理」を実施。残りの半数には「通常の治療」を行った。3カ月後、薬剤師による介入を受けた群は、通常治療群に比べて将来の心臓イベントリスクが21%低かった。また、介入群は試験開始から終了までの3カ月で将来の心疾患の推定リスクが5%低減したのに対し、通常治療群にはほとんど変化がなかった。.アルバータ大学(カナダ)教授のRoss Tsuyuki氏らによるこの研究では、多重的な危険因子をもつ患者に接触・助言し、必要な薬剤を処方して用量を調節することに焦点を当てた。心血管疾患は世界でも死亡原因の首位を占めており、このような介入措置が公衆衛生に大きな便益をもたらす可能性があると、著者らは結論づけている。この研究は「Journal of the American College of Cardiology」6月21日号に掲載された。.付随論説を執筆した米ハーバード大学医学部(ボストン)のLarry Weinrauch氏は、「この研究は、医療の送達における問題点を浮き彫りにするものである。リスクの高い患者に優れた医療を届けるには、誰が医療を提供するかは重要ではない」と指摘している。.Tsuyuki氏は、変化を起こすには「政治的決定」が必要だが、薬剤師の人数や疾患によるコストを考えれば、この医療モデルは米国にとって有益であるとの見解を述べている。米国では、薬剤師は医師とは異なり医療の「提供者」とはみなされず、直接医療費を請求することはできないが、本研究が行われたカナダのアルバータ州では薬剤師が薬歴調査や通院に対する医療保険の償還を受けることができる。.今回の研究では、56カ所の薬局を基盤とするクリニックで患者723人を集めた。介入群では通常治療群に比べて、血圧の降下や血糖値の指標であるHbA1cの低下などのリスク改善がみられたほか、LDL(悪玉)コレステロールの目標達成率が有意に高く、喫煙の減少率も高かった。.この研究の弱点の1つは期間が短いことだが、ハイリスク患者に通常治療を提供しつづけることに薬剤師が懸念を示したため、3カ月後からは対照群の患者にも薬剤師によるプログラムを案内したと、研究グループは説明している。(HealthDay News 2016年6月15日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-attack-management-and-prevention-news-365/for-better-heart-care-get-a-pharmacist-on-your-team-711893.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
心疾患の危険因子を十分にコントロールできていない人は、薬剤師の助けを借りることで将来のリスクを低減できる可能性があることが、カナダの研究で示された。今回の研究では、地域の薬剤師が心筋梗塞と脳卒中のリスクの高い人を募集し、半数には薬剤師との連携による「薬物療法管理」を実施。残りの半数には「通常の治療」を行った。3カ月後、薬剤師による介入を受けた群は、通常治療群に比べて将来の心臓イベントリスクが21%低かった。また、介入群は試験開始から終了までの3カ月で将来の心疾患の推定リスクが5%低減したのに対し、通常治療群にはほとんど変化がなかった。.アルバータ大学(カナダ)教授のRoss Tsuyuki氏らによるこの研究では、多重的な危険因子をもつ患者に接触・助言し、必要な薬剤を処方して用量を調節することに焦点を当てた。心血管疾患は世界でも死亡原因の首位を占めており、このような介入措置が公衆衛生に大きな便益をもたらす可能性があると、著者らは結論づけている。この研究は「Journal of the American College of Cardiology」6月21日号に掲載された。.付随論説を執筆した米ハーバード大学医学部(ボストン)のLarry Weinrauch氏は、「この研究は、医療の送達における問題点を浮き彫りにするものである。リスクの高い患者に優れた医療を届けるには、誰が医療を提供するかは重要ではない」と指摘している。.Tsuyuki氏は、変化を起こすには「政治的決定」が必要だが、薬剤師の人数や疾患によるコストを考えれば、この医療モデルは米国にとって有益であるとの見解を述べている。米国では、薬剤師は医師とは異なり医療の「提供者」とはみなされず、直接医療費を請求することはできないが、本研究が行われたカナダのアルバータ州では薬剤師が薬歴調査や通院に対する医療保険の償還を受けることができる。.今回の研究では、56カ所の薬局を基盤とするクリニックで患者723人を集めた。介入群では通常治療群に比べて、血圧の降下や血糖値の指標であるHbA1cの低下などのリスク改善がみられたほか、LDL(悪玉)コレステロールの目標達成率が有意に高く、喫煙の減少率も高かった。.この研究の弱点の1つは期間が短いことだが、ハイリスク患者に通常治療を提供しつづけることに薬剤師が懸念を示したため、3カ月後からは対照群の患者にも薬剤師によるプログラムを案内したと、研究グループは説明している。(HealthDay News 2016年6月15日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-attack-management-and-prevention-news-365/for-better-heart-care-get-a-pharmacist-on-your-team-711893.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.