糖尿病性腎症の進展には血液凝固の亢進が関与しており、凝固第Xa因子とその標的受容体であるプロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)経路の阻害が新しい治療標的になりうることを、東北大学大学院薬学研究科の髙橋信行氏らの研究グループが、マウスを用いた研究で突き止めた。糖尿病性腎症に対する新規治療薬の開発のほか、心房細動の抗凝固療法に用いられている第Xa因子阻害薬の応用などにも可能性があるという。この知見の詳細は、「Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology」オンライン版に6月9日掲載された。.糖尿病性腎症患者では血液凝固が亢進していることは既に知られているが、その詳細な機序は明らかにされていなかった。同氏らは、今回、さまざまな臓器傷害に関与する凝固系のうち、活性化凝固第Xa因子- PAR2経路の役割に着目し、この経路の阻害が糖尿病性腎症の進展にどのような影響を及ぼすのか、マウスを用いた実験で検証した。.同氏らが、糖尿病性腎症モデルマウスに凝固第Xa因子阻害薬(エドキサバン)を投与したところ、PAR2の発現が低下し、糖尿病性腎症の進展が抑制されることを見いだした。また、同薬を投与すると、尿中アルブミン排泄量が減少し、腎臓の組織傷害が改善することもわかった。.さらに、PAR2欠損糖尿病性腎症モデルマウスを用いた実験でも、同様の効果があることが認められた。培養細胞を用いた検討では、凝固第Xa因子やPAR2作動薬は内皮細胞の炎症性サイトカインを増加させることが判明し、炎症応答の抑制を介して腎症の改善につながっている可能性が示唆された。(HealthDay News 2016年6月27日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
糖尿病性腎症の進展には血液凝固の亢進が関与しており、凝固第Xa因子とその標的受容体であるプロテアーゼ活性化受容体2(PAR2)経路の阻害が新しい治療標的になりうることを、東北大学大学院薬学研究科の髙橋信行氏らの研究グループが、マウスを用いた研究で突き止めた。糖尿病性腎症に対する新規治療薬の開発のほか、心房細動の抗凝固療法に用いられている第Xa因子阻害薬の応用などにも可能性があるという。この知見の詳細は、「Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology」オンライン版に6月9日掲載された。.糖尿病性腎症患者では血液凝固が亢進していることは既に知られているが、その詳細な機序は明らかにされていなかった。同氏らは、今回、さまざまな臓器傷害に関与する凝固系のうち、活性化凝固第Xa因子- PAR2経路の役割に着目し、この経路の阻害が糖尿病性腎症の進展にどのような影響を及ぼすのか、マウスを用いた実験で検証した。.同氏らが、糖尿病性腎症モデルマウスに凝固第Xa因子阻害薬(エドキサバン)を投与したところ、PAR2の発現が低下し、糖尿病性腎症の進展が抑制されることを見いだした。また、同薬を投与すると、尿中アルブミン排泄量が減少し、腎臓の組織傷害が改善することもわかった。.さらに、PAR2欠損糖尿病性腎症モデルマウスを用いた実験でも、同様の効果があることが認められた。培養細胞を用いた検討では、凝固第Xa因子やPAR2作動薬は内皮細胞の炎症性サイトカインを増加させることが判明し、炎症応答の抑制を介して腎症の改善につながっている可能性が示唆された。(HealthDay News 2016年6月27日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.