心臓病や脳卒中との闘いは、米国では後退を余儀なくされるかもしれない-。「JAMA Cardiology」オンライン版に6月29日掲載された新しい研究によると、心臓病や脳卒中による死亡率の減少傾向は、2011年以降、頭打ちになっていることが示された。「1985年頃から続く肥満と糖尿病の蔓延が、心血管疾患や心臓病、脳卒中による死亡率の低下に歯止めをかけている可能性が高い。この傾向が今後も続けば、米国心臓協会(AHA)が2010年に定めた"2020年までに心臓病および脳卒中による死亡率を20%低減させる"という目標が達成できないことも考えられる」と、研究著者である米カイザーパーマネンテ北カリフォルニア研究部門のStephen Sidney氏は述べている。.今回の研究は、米国疾病管理予防センター(CDC)のデータを用いて心血管疾患や心臓病、脳卒中、がんによる死亡率を追跡調査したもの。調査の結果、心臓病および脳卒中による年間死亡率は、2000年から2011年までは毎年約4~5%減少していたが、2011年以降、この年間減少率は1%を切っていることがわかった。.一方で、がんによる年間死亡率の減少は安定しており、毎年2%近くを保っていた。また、心臓病や脳卒中による死亡率減少の減速傾向には性差や人種で差は認められなかった。.2011年までは、がん死亡率が心臓病死亡率を抜いて米国の死亡原因の第1位になるものと予測されていた。しかし、「心臓病による死亡率の減少が停滞したことで、いまだ死亡原因の首位を占めているのが実情だ」と、同氏は述べている。.同誌の付随論説を執筆した米ノースウェスタン大学(シカゴ)の予防医学部長を務めるDonald Lloyd-Jones氏は、過去40年間、安定して減少していた心臓病や脳卒中による死亡率が、ここ数年でその減少率が平坦化している点に懸念を示している。.これらの死亡率が減少してきた背景には、米国人の喫煙率の低下や生活習慣の改善、脂質や血圧管理の向上、医療技術の進歩などが挙げられる。同氏は、これらの因子によるベネフィットが最大限に達した可能性を指摘しつつも、依然として背景因子は有用であり続けており、「問題は、肥満の蔓延がこれらの効果を減弱させている点にある」と指摘している。.また、同氏は、こうした傾向が続くと、肥満増加の影響で心臓病死亡率が増加に転じる可能性も示唆されるとし、「国を挙げて肥満対策に真剣に取り組む必要がある」と強調している。(HealthDay News 2016年6月29日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-attack-news-357/progress-against-heart-deaths-starting-to-wane-report-warns-712434.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
心臓病や脳卒中との闘いは、米国では後退を余儀なくされるかもしれない-。「JAMA Cardiology」オンライン版に6月29日掲載された新しい研究によると、心臓病や脳卒中による死亡率の減少傾向は、2011年以降、頭打ちになっていることが示された。「1985年頃から続く肥満と糖尿病の蔓延が、心血管疾患や心臓病、脳卒中による死亡率の低下に歯止めをかけている可能性が高い。この傾向が今後も続けば、米国心臓協会(AHA)が2010年に定めた"2020年までに心臓病および脳卒中による死亡率を20%低減させる"という目標が達成できないことも考えられる」と、研究著者である米カイザーパーマネンテ北カリフォルニア研究部門のStephen Sidney氏は述べている。.今回の研究は、米国疾病管理予防センター(CDC)のデータを用いて心血管疾患や心臓病、脳卒中、がんによる死亡率を追跡調査したもの。調査の結果、心臓病および脳卒中による年間死亡率は、2000年から2011年までは毎年約4~5%減少していたが、2011年以降、この年間減少率は1%を切っていることがわかった。.一方で、がんによる年間死亡率の減少は安定しており、毎年2%近くを保っていた。また、心臓病や脳卒中による死亡率減少の減速傾向には性差や人種で差は認められなかった。.2011年までは、がん死亡率が心臓病死亡率を抜いて米国の死亡原因の第1位になるものと予測されていた。しかし、「心臓病による死亡率の減少が停滞したことで、いまだ死亡原因の首位を占めているのが実情だ」と、同氏は述べている。.同誌の付随論説を執筆した米ノースウェスタン大学(シカゴ)の予防医学部長を務めるDonald Lloyd-Jones氏は、過去40年間、安定して減少していた心臓病や脳卒中による死亡率が、ここ数年でその減少率が平坦化している点に懸念を示している。.これらの死亡率が減少してきた背景には、米国人の喫煙率の低下や生活習慣の改善、脂質や血圧管理の向上、医療技術の進歩などが挙げられる。同氏は、これらの因子によるベネフィットが最大限に達した可能性を指摘しつつも、依然として背景因子は有用であり続けており、「問題は、肥満の蔓延がこれらの効果を減弱させている点にある」と指摘している。.また、同氏は、こうした傾向が続くと、肥満増加の影響で心臓病死亡率が増加に転じる可能性も示唆されるとし、「国を挙げて肥満対策に真剣に取り組む必要がある」と強調している。(HealthDay News 2016年6月29日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-attack-news-357/progress-against-heart-deaths-starting-to-wane-report-warns-712434.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.