異性愛者のカップルの一方がHIV陽性であっても、薬を服用していれば、コンドームなしの性交によってウイルスに感染する可能性は極めて低いことが、新たな研究で示された。同じ状況でも同性愛者のカップルの場合は、リスクはわずかに高まるとみられる。今回の研究は、追跡期間の短さなどの弱点があるものの、感染の可能性について長年悩んできた患者とそのパートナーにとっては実に大きなニュースだと、HIVに詳しい米ワシントン大学(シアトル)のJared Baeten氏は述べている。デンマーク、コペンハーゲン大学教授のJens Lundgren氏らは今回の研究で、コンドームを常に利用していないカップルにおけるHIV感染リスクを調べるために、欧州14カ国に在住し、2人のうち一方のみがHIV陽性であったカップル888組を対象として、2010~2014年の間で中央値1年強にわたり追跡した。カップルの約3分の2が異性愛者で、残りは同性愛者の男性であり、全体の平均年齢は42歳であった。.研究の結果、同性愛者の男性10人、異性愛者1人の計11人のパートナーがHIVに感染したことが判明した。しかし、体内のウイルスを分析した結果、いずれもパートナー以外の人との性行為によって感染したと思われることがわかった。HIV陰性の同性愛者の男性では33%、異性愛者では4%が、他のパートナーとコンドームなしで性交したと申告した。実際はパートナーから感染するリスクもわずかにあると思われるが、そのリスクは異性愛者のカップルでは0.3%未満、同性愛者のカップルでは0.7%未満である可能性が高いという。.異性愛者のカップルは、HIV陽性者が十分な抗ウイルス療法を数カ月続け、一貫して薬を服用している限り、「コンドームなしの膣性交によってHIVに感染するリスクは極めて低く、無視できる可能性が高い」と、Lundgren氏は述べている。同性愛者のカップルについては、リスクはかなり低いが、今回の研究からは「極めて低い」とまではいえないとのこと。.エイズ研究財団amfARのRowena Johnston氏は、「ほとんどの人はコンドームなしのセックスのほうが気持ちがよいと考え、できればそうしたいと思っている」と述べ、今回の対象者のようなカップルの場合、コンドームを使用しなくてもさほど危険はないと思われるが、全く使用する必要がないとは言いにくいと付け加えている。米エイズ医療財団(AHF)のMichael Weinstein氏は「コンドームは安価で効果の高いHIV感染の予防手段であることに変わりはない。また、その他の多数の性感染症も予防することができる」と話している。.今回の研究は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」7月12日号に掲載された。(HealthDay News 2016年7月12日).https://consumer.healthday.com/aids-information-1/aids-and-hiv-sexually-transmitted-diseases-news-607/how-safe-is-condom-less-sex-for-couples-when-partner-with-hiv-sticks-to-meds-712816.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
異性愛者のカップルの一方がHIV陽性であっても、薬を服用していれば、コンドームなしの性交によってウイルスに感染する可能性は極めて低いことが、新たな研究で示された。同じ状況でも同性愛者のカップルの場合は、リスクはわずかに高まるとみられる。今回の研究は、追跡期間の短さなどの弱点があるものの、感染の可能性について長年悩んできた患者とそのパートナーにとっては実に大きなニュースだと、HIVに詳しい米ワシントン大学(シアトル)のJared Baeten氏は述べている。デンマーク、コペンハーゲン大学教授のJens Lundgren氏らは今回の研究で、コンドームを常に利用していないカップルにおけるHIV感染リスクを調べるために、欧州14カ国に在住し、2人のうち一方のみがHIV陽性であったカップル888組を対象として、2010~2014年の間で中央値1年強にわたり追跡した。カップルの約3分の2が異性愛者で、残りは同性愛者の男性であり、全体の平均年齢は42歳であった。.研究の結果、同性愛者の男性10人、異性愛者1人の計11人のパートナーがHIVに感染したことが判明した。しかし、体内のウイルスを分析した結果、いずれもパートナー以外の人との性行為によって感染したと思われることがわかった。HIV陰性の同性愛者の男性では33%、異性愛者では4%が、他のパートナーとコンドームなしで性交したと申告した。実際はパートナーから感染するリスクもわずかにあると思われるが、そのリスクは異性愛者のカップルでは0.3%未満、同性愛者のカップルでは0.7%未満である可能性が高いという。.異性愛者のカップルは、HIV陽性者が十分な抗ウイルス療法を数カ月続け、一貫して薬を服用している限り、「コンドームなしの膣性交によってHIVに感染するリスクは極めて低く、無視できる可能性が高い」と、Lundgren氏は述べている。同性愛者のカップルについては、リスクはかなり低いが、今回の研究からは「極めて低い」とまではいえないとのこと。.エイズ研究財団amfARのRowena Johnston氏は、「ほとんどの人はコンドームなしのセックスのほうが気持ちがよいと考え、できればそうしたいと思っている」と述べ、今回の対象者のようなカップルの場合、コンドームを使用しなくてもさほど危険はないと思われるが、全く使用する必要がないとは言いにくいと付け加えている。米エイズ医療財団(AHF)のMichael Weinstein氏は「コンドームは安価で効果の高いHIV感染の予防手段であることに変わりはない。また、その他の多数の性感染症も予防することができる」と話している。.今回の研究は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」7月12日号に掲載された。(HealthDay News 2016年7月12日).https://consumer.healthday.com/aids-information-1/aids-and-hiv-sexually-transmitted-diseases-news-607/how-safe-is-condom-less-sex-for-couples-when-partner-with-hiv-sticks-to-meds-712816.html.Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.