日本人男性では、BMI 23~25kg/m2の非肥満体型であっても、高血圧・高血糖・脂質異常症のリスク因子を1つでも有していると、骨格筋にインスリン抵抗性が生じていることを、順天堂大学大学院代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターなどの研究グループが解明した。非肥満者の代謝異常を予防するには骨格筋インスリン抵抗性の改善が鍵になるという。また、肝脂肪や軽度な肝機能異常が骨格筋インスリン抵抗性の簡便な指標になりうることも判明した。詳細は「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」オンライン版に7月6日掲載された。肥満は2型糖尿病やメタボリックシンドローム(MS)などの生活習慣病のリスク因子であり、これらの関連にはインスリン抵抗性の関与が指摘されている。日本人を含むアジア人では、BMI 25 kg/m2未満の非肥満でも代謝異常が出現しやすいことが報告されているが、こうした非肥満者におけるインスリン抵抗性の病態的意義は十分に明らかにされていなかった。そこで、研究グループの田村好史氏(同大学大学院代謝内分泌内科学)らは、BMI 25 kg/m2未満の非肥満の日本人男性をおもな対象として、インスリン抵抗性と代謝異常、異所性脂肪蓄積の関連などについて検討した。.対象は、BMI 23~25 kg/m2の日本人男性70人で、心血管代謝リスク因子(高血圧、高血糖、脂質異常症)をもたない群(28人)、いずれか1つを保有する群(28人)、2つ以上保有する群(14人)に分けて肝臓および骨格筋のインスリン抵抗性を測定した。さらに、BMI 21~23kg/m2でリスク因子をもたない24人を「正常群」、BMI 25~27.5kg/m2でMSを合併した20人を「肥満合併MS群」として同様に測定を行った。糖尿病または心血管疾患の既往者は除外した。.肝臓および骨格筋のインスリン抵抗性の測定には、2-ステップ高インスリン正常血糖クランプ法を用いた。なお、同検査法は1人10時間の計測時間を要する大がかりなもので、研究グループによると、非肥満者を中心とした100人を超える規模の対象に同法を用いた研究は世界で初だという。.その結果、BMIが23~25kg/m2で心血管代謝リスク因子をもたない人では、インスリン感受性は正常群と同程度であったが、BMIが23~25kg/m2でリスク因子を1つでも保有していると、骨格筋におけるインスリン感受性は肥満合併MS群と同程度にまで低下し、インスリン抵抗性が認められることがわかった。一方で、肝臓におけるインスリン抵抗性にはこうした関連は認められなかった。.また、骨格筋のインスリン抵抗性に関連する因子として、従来指摘されている内臓脂肪量の蓄積や血中アディポネクチン濃度低値のほか、体力の低下、生活活動量の低下、高脂肪食といった生活習慣に関連した因子も複数浮かび上がった。さらに、肝脂肪の軽度な蓄積や肝機能検査値の軽度上昇(正常範囲内)も骨格筋におけるインスリン抵抗性と有意に関連していることがわかった。(HealthDay News 2016年8月8日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.
日本人男性では、BMI 23~25kg/m2の非肥満体型であっても、高血圧・高血糖・脂質異常症のリスク因子を1つでも有していると、骨格筋にインスリン抵抗性が生じていることを、順天堂大学大学院代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターなどの研究グループが解明した。非肥満者の代謝異常を予防するには骨格筋インスリン抵抗性の改善が鍵になるという。また、肝脂肪や軽度な肝機能異常が骨格筋インスリン抵抗性の簡便な指標になりうることも判明した。詳細は「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」オンライン版に7月6日掲載された。肥満は2型糖尿病やメタボリックシンドローム(MS)などの生活習慣病のリスク因子であり、これらの関連にはインスリン抵抗性の関与が指摘されている。日本人を含むアジア人では、BMI 25 kg/m2未満の非肥満でも代謝異常が出現しやすいことが報告されているが、こうした非肥満者におけるインスリン抵抗性の病態的意義は十分に明らかにされていなかった。そこで、研究グループの田村好史氏(同大学大学院代謝内分泌内科学)らは、BMI 25 kg/m2未満の非肥満の日本人男性をおもな対象として、インスリン抵抗性と代謝異常、異所性脂肪蓄積の関連などについて検討した。.対象は、BMI 23~25 kg/m2の日本人男性70人で、心血管代謝リスク因子(高血圧、高血糖、脂質異常症)をもたない群(28人)、いずれか1つを保有する群(28人)、2つ以上保有する群(14人)に分けて肝臓および骨格筋のインスリン抵抗性を測定した。さらに、BMI 21~23kg/m2でリスク因子をもたない24人を「正常群」、BMI 25~27.5kg/m2でMSを合併した20人を「肥満合併MS群」として同様に測定を行った。糖尿病または心血管疾患の既往者は除外した。.肝臓および骨格筋のインスリン抵抗性の測定には、2-ステップ高インスリン正常血糖クランプ法を用いた。なお、同検査法は1人10時間の計測時間を要する大がかりなもので、研究グループによると、非肥満者を中心とした100人を超える規模の対象に同法を用いた研究は世界で初だという。.その結果、BMIが23~25kg/m2で心血管代謝リスク因子をもたない人では、インスリン感受性は正常群と同程度であったが、BMIが23~25kg/m2でリスク因子を1つでも保有していると、骨格筋におけるインスリン感受性は肥満合併MS群と同程度にまで低下し、インスリン抵抗性が認められることがわかった。一方で、肝臓におけるインスリン抵抗性にはこうした関連は認められなかった。.また、骨格筋のインスリン抵抗性に関連する因子として、従来指摘されている内臓脂肪量の蓄積や血中アディポネクチン濃度低値のほか、体力の低下、生活活動量の低下、高脂肪食といった生活習慣に関連した因子も複数浮かび上がった。さらに、肝脂肪の軽度な蓄積や肝機能検査値の軽度上昇(正常範囲内)も骨格筋におけるインスリン抵抗性と有意に関連していることがわかった。(HealthDay News 2016年8月8日).Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.