2HDN糖尿病ニュース8月10日配信1
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GLP-1受容体作動薬の心不全への影響は?(2016.8.10配信)

GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(商品名:ビクトーザ)は、進行した心不全患者の心機能向上に寄与しない可能性が、新しい研究で示された。

米ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)教授のKenneth Margulies氏らによる今回の研究は、GLP-1受容体作動薬というクラスの薬剤が、心筋細胞上のGLP-1受容体と相互作用し、心機能を高めるとの理論に基づいて行われたものだが、同薬によるベネフィットは認められず、中立的な結果が得られた。

過去の研究によると、進行した心不全患者では末梢の筋肉や心筋でインスリン抵抗性が示されており、GLP-1受容体作動薬が役立つ可能性が指摘されていた。しかし、今回はこうした期待に反する結果が得られた。さらに、リラグルチドを使用した糖尿病患者では、有意ではないものの、腎機能の悪化のほか、死亡や再入院リスクもプラセボ群に比べてやや高いことがわかった。

しかし、リラグルチドを使用中の心不全既往患者は、自身の判断で同薬の使用を中止すべきではないと、同氏は強調している。

専門家の1人、米ノースカロライナ大学医学部(チャペルヒル)のJohn Buse氏によると、今回の研究は小規模で研究期間も短く、大規模研究のLEADER(Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results)試験の結果とは一致していない点を指摘し、「最終的な結論は導き出せない」と述べている。

同氏も参加したLEADER試験は、心血管イベントリスクの高い2型糖尿病患者9,000人超を約4年間追跡したもので、標準治療にリラグルチドを併用した群では、プラセボを併用した群に比べて心筋梗塞や脳卒中、心血管死亡リスクが低減することが示された。今回はこれとは一致しない結果が得られたことから、同氏は、糖尿病患者の心不全治療については、さらなる研究の実施が必要だとしている。

今回の研究で、Margulies氏らは進行した心不全により最近入院した患者300人近くを、リラグルチド投与群とプラセボ群にランダムに割り付けて6カ月間追跡。死亡、心不全による再入院、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)血中濃度の変動率などを調べた。

追跡を完了した271人の患者では、いずれの転帰にもリラグルチド投与による有意な影響は認められなかった。死亡率はリラグルチド群12%に対して、プラセボ群では11%、心不全による再入院率はそれぞれ41%、34%であった。心臓の構造や機能、6分間歩行テストでの距離、QOLについても両群間で差は認められなかった。

米ボストン大学医学部のCaroline Apovian氏は、今回の研究で対象とされた患者は心不全症状が重症すぎた可能性があることを指摘しており、「心不全が軽度なより早期にリラグルチドの投与を開始すれば、ベネフィットが得られた可能性がある」との見解を示している。

なお、リラグルチドの製造元であるノボノルディスク社(デンマーク)は、HealthDayによるコメントの要請に現時点で回答していない。

この知見は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」8月2日号に掲載された。(HealthDay News 2016年8月2日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-drug-news-179/diabetes-drug-victoza-might-not-help-advanced-heart-failure-patients-713497.html

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