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肥満に伴うインスリン抵抗性は「大腸の炎症」が原因か -慶應大の研究グループが解明(2016.8.22配信)

肥満や高脂肪食の過剰摂取に伴う全身のインスリン抵抗性の原因は、脂肪組織よりも大腸の炎症にある可能性を、慶應義塾大学内科学教室腎臓内分泌代謝内科の川野義長氏、中江淳氏らの研究グループが、マウスを用いた実験で突き止めた。ヒトにおいても高脂肪食を摂取すると大腸のマクロファージ浸潤により慢性炎症が引き起こされ、糖尿病発症につながりうることから、糖尿病治療の新しい標的となる可能性があるという。詳細は、「Cell Metabolism」オンライン版に8月9日掲載された。

肥満に伴うインスリン抵抗性は2型糖尿病の発症に寄与し、これまでの研究で、この関連には「内臓脂肪の炎症」が強く関与することが報告されている。一方で、高脂肪食を過剰に摂取すると、肥満には至らなくとも腸内細菌叢のバランスが崩れることが報告されている。

同氏らの研究グループは、まず、腸管が免疫器官としても重要な役割を担っている点に着目し、高脂肪食の摂取によりもたらされる腸内細菌叢の変化に伴って、免疫環境も大きく変化するとの仮説をたて、マウスを用いた実験で検討した。

同氏らが、マウスに脂肪分を60%含有した高脂肪食を20週間摂取させたところ、大腸では、脂肪組織よりも早い時点(摂取開始4週間後、脂肪組織は12週間後)で腸管上皮から産生されるマクロファージの集積を誘導するタンパク質Ccl2(Chemokine C-C motif ligand2)の産生が増加し、マクロファージが集積することがわかった。

また、こうして大腸に集積したマクロファージにより腸管のバリア機能が破綻し、腸内細菌由来の毒素(リポポリサッカライド:LPS)やインターロイキン(IL)-1β、18といった炎症性サイトカインなどの血中濃度が上昇することで、全身のインスリン抵抗性を引き起こす機序が明らかにされた。

さらに、同氏らが、腸管上皮細胞特異的にCcl2を欠損したマウスを作製したところ、大腸へのマクロファージの集積が減少し、腸管の炎症が抑えられたほか、全身のインスリン抵抗性が改善し、高脂肪食負荷による血糖値の上昇が対照マウスに比べて約30%低下することがわかった。(HealthDay News 2016年8月22日)

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