Cholesterol plaque in artery
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災害後のDVTリスク、自宅から遠い仮設住宅への入居で上昇する可能性(2016.9.5配信)

東日本大震災後に仮設住宅に入居した高齢者において、元住居と仮設住宅の地理的な距離が、深部静脈血栓症(DVT)の有病率に関連するとの調査結果が、盛岡市立病院神経内科の佐々木一裕氏らにより報告された。

岩手県では今も約2万人が仮設住宅で生活しており、被災者のDVT有病率は一般住民より高く、年々上昇傾向にあるという。同氏らは震災直後から、岩手県沿岸の被災者を対象として、エコノミークラス症候群の予防を目的とした下肢DVT検診(下肢エコー検査、ABI検査など)を継続的に実施している。

2015年、同検診の受診者は854人(平均年齢71.8歳)であった。対象者の78.7%が女性で、6割が仮設団地に居住していた。検診の結果、全体のDVT頻度は13.5%で、2014年に比べて上昇していた。初回受診者のDVT頻度は地域により異なり、仮設団地別にみると0~19%と大きな差がみられた。

そこで同氏らは、地理情報システム(GIS)を用いて、仮設団地の地理的要因と血栓陽性率との関連を検討した。復興支援調査アーカイブデータおよび問診票に記載された震災前住所・現住所をもとに、各々の移動した距離、標高差を算出した。

その結果、震災前の住居と仮設団地との標高差または移動距離が大きい地区では、その差が小さい地区に比較して、下肢DVTの頻度が高いことが示された。

佐々木氏は、「もとの居住地から遠く、標高の高い場所にある仮設団地に入居した高齢者では、地域コミュニティの断絶、坂道の上り下りの負担などから、身体活動量が低下している可能性がある。特に東日本大震災では、津波による被害などの要因もあり、居住地の近くに仮設団地を設けられないケースも多く認められた」と述べ、能動的な検診によりDVTを診断し、弾性ストッキングを着用してもらうなどの予防策をとることが重要だと説明している。

同検診は被災地支援事業としてカタール・フレンドシップ基金からの費用提供を受けて実施され、調査結果は同基金のプレスセミナーで発表された。(HealthDay News 2016年9月5日)

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