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感染症に対する免疫反応に人種差(2016.10.31配信)

アフリカ系アメリカ人の細胞は、ヨーロッパ系アメリカ人に比べて感染症に対する免疫反応が強いことが新たな研究で明らかにされた。しかし、このような強力な反応にはマイナス面もあり、アフリカ系アメリカ人の心疾患、脳卒中、自己免疫性炎症性疾患のリスクを高める一因となっている可能性もあると、研究グループは述べている。

研究を実施したカナダ、モントリオール大学小児科助教授のLuis Barreiro氏によると、免疫反応の強さは、アフリカ人の祖先に由来する遺伝子をもつ割合と直接的に関連していたという。この研究では、米国人175人(うち80人がアフリカ系)から採取した白血球に実験室内でリステリア菌とサルモネラ菌を感染させ、免疫反応を観察した。その結果、感染から24時間後、アフリカ系アメリカ人の白血球は3倍の速度で細菌を死滅させることがわかった。

この差の背景には、進化と自然淘汰による黒人と白人の遺伝的差異があるようだとBarreiro氏は言う。研究グループは、感染に対する反応における人種差を示す数千の遺伝子を特定し、2つの集団の間でどの遺伝子や調節経路が異なるのかを明らかにした。

この研究の強みの1つは、被験者をヨーロッパ系かアフリカ系かに区分するのではなく、2つの祖先間に連続的に分布すると考え、遺伝子の量を算出している点であると、米ノースウェル・ヘルス(ニューヨーク州)のDavid Rosenthal氏(研究には参加していない)は指摘している。

フランスのチームによる別の研究では、ヨーロッパ系およびアフリカ系の200人から採取した白血球を用いて、同じ結論に達している。両研究チームによると、この遺伝的多様性は、主にヨーロッパに居留し、約4万年前に絶滅したネアンデルタール人によって説明できるという。Barreiro氏らは、アフリカ系アメリカ人とヨーロッパ系アメリカ人の免疫反応の差に関与する遺伝子の約3%がネアンデルタール人に由来していることを明らかにした。

ほかにも、さまざまな進化の過程が影響をもたらしている可能性があると、同氏は説明する。たとえば初期人類がアフリカから北へ移動したことで、感染症にかかる機会が減少した可能性が考えられる。そのため、強い炎症反応をもつ必要がなくなり、偶然に免疫応答が低減したのかもしれない。あるいは、アフリカに留まった人類が炎症反応を妨げる寄生虫に断続的に感染した可能性もある。

この新たな遺伝子情報が、アフリカ系アメリカ人の慢性的な健康リスクの治療法につながる可能性があると、Barreiro氏は結論づけている。「われわれが特定した遺伝子や経路は、2つの集団にみられる疾患の差異を説明できる可能性がある」と同氏はいう。Rosenthal氏もこれに同意し、今後の研究ではこのような遺伝子に焦点を絞ってその重要性を判定していく必要があると述べている。

両研究は「Cell」10月20日号に掲載された。(HealthDay News 2016年10月20日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/race-health-news-570/black-americans-may-have-stronger-immune-response-to-infections-716059.html

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