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緩和ケアでQOLは向上するが余命は延びない(2016.12.1配信)

緩和ケアにより、重篤疾患の患者やその家族への負担を軽減することはできるが、患者の余命を延長するという根拠はないことが、既存のエビデンスのレビューにより明らかにされた。研究の筆頭著者で米ピッツバーグ大学医学部助教授のDio Kavalieratos氏は、「緩和ケアと死亡までの期間との間には全く関連が認められなかった」と述べている。

緩和ケアは、患者の症状、痛み、ストレスの軽減に重点を置く治療である。また、患者や家族の意思決定を助け、心理的支援を行う側面もある。今回の報告は、緩和ケアによる生存期間と生活の質(QOL)への影響に関する初めてのレビュー。研究グループは、成人の重篤疾患患者1万2,700人強とその介護者2,500人弱を対象とする43件の臨床試験のデータを分析した。個別の研究では緩和ケアによって余命が延びる可能性が示されていたことから、研究チームは最新のエビデンスを統合することによりその裏付けを得ようとした。

Kavalieratos氏によると、緩和ケアを受ける患者は苦痛が軽く、疾患によるストレスも少ないため、余命が延びるという主張は生物学的にも納得できるものであったという。一方で、緩和ケアは本来、死期を遅らせることを意図したものではないと同氏は指摘する。

今回の研究では、15件の試験から得られたエビデンスに基づき、緩和ケアによって1カ月後および3カ月後の患者のQOLに臨床的に有意な改善がみられることがわかった。症状の負荷にも改善がみられたが、そのエビデンスは比較的弱いものであった。

このほか、緩和ケアによって高度な治療計画、患者や介護者の満足度、医療財源の利用などの面で改善がみられた一方、自宅と病院のどちらで死を迎えるか、治療が患者や介護者の気分に及ぼす影響、全体的な医療費低減の有無などの面では一貫したエビデンスは得られなかった。また、6カ月後の時点ではQOLや症状管理の改善を裏付けることはできなかった。それでも今回のデータからは、患者のストレスが最も大きい時期に、緩和ケアによってQOLの向上と症状の軽減が得られたことがわかると、Kavalieratos氏は述べている。

米ミシガン大学ヘルスシステム(アナーバー)教授のPreeti Malani氏は、今回の結果が緩和ケアの価値を示すものであることに同意し、「正式に緩和ケアの訓練を受けた医師は少ない。重篤疾患患者と関わる医師にはもれなく訓練を行う必要がある」と指摘している。今回のレビューは「Journal of the American Medical Association(JAMA)」11月22/29日号に掲載された。(HealthDay News 2016年11月22日)

https://consumer.healthday.com/caregiving-information-6/palliative-care-991/palliative-care-raises-quality-of-life-but-doesn-t-extend-it-717089.html

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