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マウスの胚の発達の「一時停止」に成功(2016.12.1配信)

マウスの初期胚の発達を最長1カ月停止させた後、正常な成長を再開させることに成功したと、科学者らが報告した。この研究結果は、生殖補助、再生医療、老化、さらにはがんも含めたさまざまな分野で重要なものとなる可能性があると、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のチームは述べている。

研究グループは、mTORと呼ばれる細胞増殖制御因子の活性を弱める薬剤を用いてマウスの初期胚(胚盤胞)を最長4週間、安定的かつ可逆的な休眠状態にした。mTOR阻害薬への曝露を止めると、胚はすぐに正常な発達を再開し、雌マウスの胎内に移植すると健康なマウスに成長した。UCSF助教授Miguel Ramalho-Santos氏の研究室に所属する博士研究員で、今回の研究の筆頭著者であるAydan Bulut-Karslioglu氏によると、胚盤胞は通常、実験室で1~2日しかもたないという。

今回の結果は、研究グループにとっても意外なものであったという。Ramalho-Santos氏は、「マウスの妊娠期間はわずか20日間であることを考えると、30日間“停止”した胚は、普通に発達していればすでに離乳した仔となっているはずのものである」と説明する。Bulut-Karslioglu氏によると、「休眠した胚盤胞は、内部にもつ必須代謝物を使い尽くせば、やがて死滅する。その栄養素を培地に補充することができれば、もっと長く維持できるはずである。ただし、正確に何が必要なのかは未だわかっていない」と述べている。

この研究は、ヒトの補助生殖医療にも大きな影響を及ぼす可能性がある。現在この分野では、初期胚が胚盤胞に到達すると急速に劣化するという制約がある。胚盤胞の発達を停止できれば、胚を凍結する必要がなくなり、遺伝子異常の有無を調べる十分な時間も得られると、Bulut-Karslioglu氏はいう。ただし、動物研究の結果はヒトでは同様の結果が得られない場合も多い。

mTOR阻害薬は一部のがんの治療薬として既に臨床試験が始まっているが、今回の知見から、mTOR阻害薬によってがんを縮小できても、治療を中断すると再び拡大してしまう可能性も示唆されると、Ramalho-Santos氏は指摘している。この研究は「Nature」オンライン版に11月23日掲載された。(HealthDay News 2016年11月23日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/stem-cell-news-636/researchers-find-way-to-pause-embryo-development-717129.html

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