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内臓脂肪型肥満による慢性炎症に「免疫老化」が関与 ――慶應大の研究グループ(2016.12.5配信)

内臓脂肪型肥満が生活習慣病の発症と免疫機能の低下をもたらす背景には、Tリンパ球をはじめとする免疫細胞の老化が深く関与していることを、慶應義塾大学内科学教室(循環器)の佐野元昭氏らの研究グループが突き止めた。高脂肪食を摂取した若年の肥満マウスでは、老化したTリンパ球集団が内臓脂肪に大量に出現しており、これが過剰な炎症やインスリン抵抗性などを促進させているという。詳細は「Journal of Clinical Investigation」オンライン版に11月8日掲載された。

腹腔内の腸のまわりに脂肪が過剰に蓄積する「内臓脂肪型肥満」は慢性的で過剰な炎症反応を引き起こし、生活習慣病の発症と密接に関わるとされている。この慢性的な炎症の背景には、内臓脂肪組織における免疫細胞機能の変化が指摘されているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていなかった。研究グループは今回、個体の老化に関与する「免疫老化」(加齢に伴うTリンパ球などの機能異常を指す)に着目し、内臓脂肪型肥満と免疫老化との関連について検討する研究を行った。

研究グループはまず、高脂肪食の摂取で肥満した若年マウスを用いた実験により、こうしたマウスでは、細胞表面にCD153およびPD-1を発現するTリンパ球(CD153陽性PD-1陽性Tリンパ球)が、内臓脂肪に短期間で大量に出現することを発見した。このCD153陽性PD-1陽性Tリンパ球は、細胞老化の特徴をもち、強力な炎症性サイトカインを大量に産生するもので、痩せたマウスの内臓脂肪にはほとんど存在しないという。若年肥満マウスで確認されたこの老化したTリンパ球集団は、高齢マウスの免疫老化の原因となるTリンパ球と類似した性質をもつことも判明した。

また、このCD153陽性PD-1陽性Tリンパ球を移植した痩せた健康な若年マウスでは、高脂肪食を摂取した肥満マウスにみられる内臓脂肪における過剰な炎症やインスリン抵抗性、血中オステオポンチン濃度の上昇が確認された。

オステオポンチンは炎症性サイトカインの分泌促進のほか、マクロファージの機能も活性化する。研究グループは、オステオポンチンを大量に分泌するCD153陽性PD-1陽性Tリンパ球の蓄積が、脂肪組織内の免疫系全体に悪影響を及ぼし、過剰な炎症を引き起こしていると考察している。

研究グループは、オステオポンチンを欠損したマウスに高脂肪食を摂取させて太らせたマウスから採取したCD153陽性PD-1陽性Tリンパ球を、健康な若年マウスに移植しても、内臓脂肪の過剰な炎症やインスリン抵抗性は生じないことも突き止めており、オステオポンチンが重要な役割を担っていることを明らかにしている。(HealthDay News 2016年12月5日)

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