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「耳が遠くなる」原因は耳以外にも(2016.12.8配信)

夕食の席や騒がしい通りで人が話していることが聞き取れないという高齢者は、実は聴力には全く問題がなく、脳が会話を素早く処理する能力が低下している可能性があることが、新たな研究で示唆された。

研究共著者の1人、米メリーランド大学システム研究所准教授のJonathan Simon氏は、「加齢とともに起こる典型的な聴力低下とは別に、他の音が同時に聞こえる場所では、脳が話し声を処理する能力も低下する」と説明している。

若い人にとっては、背景雑音は特にうるさいとも感じられないが、高齢者が雑音のなかで人の話を理解するには努力と時間を要すると、Simon氏は説明する。米国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)によれば、65~74歳の米国人の約3人に1人にはある程度の聴力低下がみられ、75歳以上では半数に難聴があるという。

今回の研究では、若年者(18~27歳)17人と高齢者(61~73歳)15人を対象とした。被験者は全員、聴力は正常であり、認知症には罹患していなかった。同氏らは全員にさまざまな背景雑音下で聴力検査を実施するとともに、脳スキャン検査で中脳と皮質の活動を調べた。中脳は基本的な音の処理を制御する領域で、皮質は音声の理解に重要な領域である。

その結果、静かな状況と騒音のある状況のいずれでも、若年者は高齢者に比べて聞き取りの能力が高かったが、騒音のある状況では、特に高齢者の成績が低かった。脳スキャン検査の結果、高齢者のほうが中脳における聴覚に関連する神経シグナル伝達が弱く、皮質における聴覚情報の処理にも時間を要することが判明した。

雑音のなかで人の話が聞き取れない高齢者は、実際の聴力と脳の処理能力の両方が低下している可能性があるとSimon氏はいう。その場合、補聴器は問題の一部を解決する重要な手段となるものの、全てを解決することはできない。聴覚と言語認識を高めるには一種の理学療法が役立つ可能性があると同氏は指摘し、「理論上は、脳の若い側面を十分に回復させることにより、この問題を解消できる可能性がある」と述べている。

米サウスフロリダ大学(タンパ)のRobert Frisina氏は、「雑音のある環境での加齢による聴力低下と言語知覚の問題には、聴覚に関わる脳領域の神経変性による変化が関与していることは十分に認識されている。脳の加齢について分子レベルでの理解が進んでおり、その分子の変化が薬物療法の標的となることが予想される」と話し、最終的には聴覚療法と最先端の薬剤が併用されるようになる可能性があるとしている。

今回の研究は「Journal of Neurophysiology」11月号に掲載された。(HealthDay News 2016年11月29日)

https://consumer.healthday.com/hearing-information-19/hearing-disorder-news-351/what-did-you-say-new-clues-to-why-hearing-gets-worse-with-age-716999.html

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