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インクレチン関連薬が低血糖を起こしにくい機序を解明 ――関電医学研究所の研究グループ(2016.12.19配信)

関西電力医学研究所の矢部大介氏らの研究グループは、DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬といったインクレチン関連薬が、血糖値が高まったときだけインスリンの分泌を促進し、グルカゴンの分泌を抑制する一方で、血糖値が低いときには、これらのホルモンに対してほとんど作用しないことを、低血糖クランプ法を用いて明らかにした。

日本人の患者を対象に、インクレチン関連薬が低血糖を起こしにくい機序を明らかにしたのはこの研究が初めて。また、インクレチン関連薬は、低血糖時に活性化される交感神経-副腎系反応を抑制し、狭心症や心筋梗塞の発症予防につながる可能性も示唆されたという。詳細は「Diabetes,Obesity and Metabolism」オンライン版に11月29日掲載された。

インクレチンは、食後に血糖値を上昇させないように小腸から分泌され、血糖値を下げるインスリンの分泌を促進し、血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌を抑制するホルモン。このホルモンを利用したインクレチン関連薬は、単独で使用した場合には低血糖リスクは低いとされるものの、その作用機序は明らかにされていない。

研究グループは今回、2型糖尿病患者35人を対象に、DPP-4阻害薬のリナグリプチン投与群とGLP-1受容体作動薬のリラグルチド投与群に無作為に割り付け、2週間投与の前後に低血糖クランプ試験を実施する多施設オープンラベルのランダム化比較試験を行った。低血糖クランプとは、血糖値を連続測定しながらインスリンやブドウ糖を持続的に注入し、血糖値が45mg/dL(低血糖)に到達した際の糖代謝やホルモン分泌を評価する検査法である。

その結果、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬はいずれも、血糖値が高いときにはインスリンの分泌を促進し、グルカゴンの分泌を抑制する一方で、血糖値が低いときには、これらのホルモンに対してほとんど作用しないことがわかった。

また、低血糖時には交感神経-副腎系反応が活性化され、これが血行動態や心拍数に悪影響をあたえるため、狭心症や心筋梗塞の原因になるものと考えられてきたが、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬はともに交感神経-副腎系を抑制することが判明した。研究グループは、これらの薬剤は交感神経-副腎系の抑制を介して、低血糖により引き起こされる心血管イベントの発症抑制に寄与する可能性があると指摘している。なお、今回の研究は、日本べーリンガーインゲルハイム社、米イーライリリー社の資金提供を受けて行われた。(HealthDay News 2016年12月19日)

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