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肺温存手術で中皮腫の生存期間が改善(2017.1.5配信)

一部の中皮腫患者に対し、肺温存手術とその他の治療を併用することにより余命が延びる可能性があることが、新たな研究で示唆された。悪性の胸膜中皮腫患者73人を追跡した結果、肺温存手術を受けた群の平均生存期間は約3年で、そのうちの一部は7年以上生存した。一方、標準治療の化学療法のみを受けた群の平均生存期間は12~18カ月であった。

被験者は肺温存手術に加え、光を用いてがん細胞を死滅させる光線力学的療法を受け、92%は化学療法も併用した。「肺全体を摘出してしまうとQOL(生活の質)が大きく損なわれる。中皮腫が治癒する可能性はほとんどないため、この治療法(肺温存手術)は最大の姑息的手術である」と、米メリーランド大学医療センター(ボルチモア)のJoseph Friedberg氏は述べている。

米国がん協会(ACS)によると、米国では年間約3,000人が中皮腫と診断される。その多くは工業系の業務でアスベストに曝露した人だと、米国立がん研究所(NCI)は報告している。アスベストは断熱材や建物の屋根板、床板などに使用され、その繊維を吸引したり飲み込んだりすると肺や胃などに残る。曝露から数十年が経過した後に中皮腫を発症することも多いという。

今回の研究では、2005~2013年に被験者に肺温存手術を実施した。全体の平均生存期間は35カ月であったが、リンパ節に転移のない19人の生存期間は倍以上の7.3年であった。被験者の多くはステージ3~4のがんであった。

Friedberg氏によると、一般に中皮腫患者のうち外科手術を受けるのは15~20%にとどまり、多くは肺全体と横隔膜、心膜まで切除するが、胸膜中皮腫患者の20~40%は肺温存手術に適格であるという。肺温存手術は目に見えるがんの痕跡をすべて切除するもので、合併症が少なく、90日以内の死亡リスクも低いとされている。

中皮腫に対する肺温存手術は比較的新しく、その必要性は未だ確立されていないとFriedberg氏は話す。ある専門家は今回の知見に対し、無作為化試験ではなく選ばれた患者を対象としているため、結果が歪曲されている可能性があると指摘し、慎重な姿勢を見せている。一方、別の専門家は、中皮腫の肺温存手術は他の大学病院でも実施されており、今回の結果は意外なものではないと述べている。

この研究は、「Annals of Thoracic Surgery」2016年12月号に掲載された。(HealthDay News 2016年12月23日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/lung-cancer-news-100/lung-sparing-surgery-may-boost-mesothelioma-survival-718058.html

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