2HDN糖尿病ニュース1月19日配信2
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エンテロウイルスが1型糖尿病の発症に関連か

ごく一般的なウイルスへの感染が、一部の1型糖尿病の発症に関連している可能性が、フィンランドの研究で示唆された。このウイルスは「エンテロウイルス」と呼ばれるもので、普通の風邪からポリオのような深刻なものまで、幅広い感染症を引き起こすことで知られている。

今回の研究では、1型糖尿病発症の徴候を示す小児には、そうでない児に比べて少なくとも1年以上前にエンテロウイルスに感染している確率が有意に高いことがわかった。

自己免疫疾患である1型糖尿病では、患者自身の免疫系が誤ってインスリンを産生する膵島細胞を破壊する。膵島を攻撃するのは「膵島関連自己抗体」という抗体で、これは1型糖尿病を発症する以前から認められる。

「今回の研究により、膵臓のインスリン産生細胞に対する自己免疫プロセスが、エンテロウイルスによって誘導される可能性が示唆された。この自己免疫プロセスは、感染から数カ月後に開始されるようであり、ゆっくりと進行するメカニズムが関連していると示唆される」と、研究を主導したタンペレ大学(フィンランド)のHanna Honkanen氏は述べている。

この研究は因果関係を証明するものではないが、研究指導著者である同大学ウイルス学教授のHeikki Hyoty氏は、「これまでの多くのエビデンスから、両者の関連が明らかに示唆されている。エンテロウイルスへの感染だけが糖尿病発症の原因にはならないが、遺伝的に感染しやすい人ではその可能性が考えられる」と述べている。1型糖尿病患者の少なくとも半数は、エンテロウイルス感染に関連したものと推測されるという。

今回の研究は、複数の膵島関連自己抗体が陽性だった小児129人と、同様な条件下で自己抗体をもたない対照群の小児282人を対象に、長期にわたって糞便試料を検査したもの。

解析した結果、抗体陽性群の1,673件および対照群の3,100件強の糞便試料のうち、それぞれ108人と169人でエンテロウイルス感染が認められた。エンテロウイルス感染率は、対照群に比べて抗体陽性群で高く、その感染例の多くは、初めて抗体陽性とわかった12カ月以上前に感染していたこともわかった。

「ウイルスが免疫機構を活性化し、自己免疫プロセスが生じるには時間を要するため、この時間差は理にかなっている」と、Honkanen氏は説明している。

エンテロウイルス感染を予防するには、ポリオや手足口病(エンテロウイルス71型)のワクチンを接種する以外に方法はない。今回の研究で、過去のエビデンスから、その他のエンテロウイルスのワクチンが1型糖尿病の発症率を減らすのに役立つ可能性が示されたが、ヒト用ワクチンの開発には長い時間を要すると、Hyoty氏は指摘している。

米JDRF(旧・青少年糖尿病研究財団)のJessica Dunne氏は、今回の知見を興味深いと評価しながらも、“エンテロウイルスが1型糖尿病発症の唯一の環境因子ではない”という点で著者らと一致しており、小児のほとんどはエンテロウイルスに感染しても1型糖尿病にはならないため、親は子どもが感染しても過剰に心配する必要はないという。

この研究は、「Diabetologia」オンライン版に1月9日掲載された。(HealthDay News 2017年1月10日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/common-virus-may-have-ties-to-type-1-diabetes-718536.html

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