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肥満細胞の増殖を抑制し、肥満を抑える「糖鎖」を発見 ――理研の研究グループ

「α2,6シアル酸」をもつ糖鎖が、肥満細胞の増殖の抑制に働き、肥満を抑えていることを、理化学研究所グローバル研究クラスタ疾患糖鎖研究チームの蕪木智子氏、木塚康彦氏と谷口直之氏らの研究グループがマウスを用いた研究で突き止めた。α2,6シアル酸は、肥満と関連が深い糖尿病や高血圧、動脈硬化といった生活習慣病の新しい治療標的になる可能性があるという。詳細は「The Journal of Biological Chemistry」オンライン版に2016年12月28日掲載された。

糖鎖とは、各種の糖が鎖状につながってタンパク質などに結合した化合物を指し、ヒトの体内のタンパク質は半分以上がこの糖鎖を付けた状態で存在している。これまでの研究で、この糖鎖の構造や量が、がん、糖尿病、アルツハイマー病などの疾患の原因のひとつであることがわかっているが、肥満に伴う脂肪細胞の肥大化や増殖にどのように関連するのかは明らかにされていなかった。

そこで研究グループが、高脂肪食を摂取させて肥満にしたマウスの脂肪組織を調べたところ、末端に「α2,6シアル酸」をもつ糖鎖の量が、肥満細胞の分化に伴って大きく減少していることを見いだした。これは、α2,6シアル酸をつくるST6GAL1と呼ばれる酵素の遺伝子が、DNAのメチル化により「オフ」になるためであることがわかった。そこで、培養した脂肪細胞中のST6GAL1の量を強制的に増やしたところ、脂肪の蓄積が抑えられることもわかった。

さらに、脂肪細胞を詳細に解析した結果、インテグリンβ1と呼ばれる接着性のタンパク質がα2,6シアル酸をもっており、α2,6シアル酸が少なくなるとインテグリンβ1の働きが弱まり、それが脂肪細胞の増殖や分化を促進することがわかった。

以上の結果から、研究グループは「ST6GAL1がつくるα2,6シアル酸をもった糖鎖は、インテグリンβ1などの働きを調整することで、脂肪細胞の増殖と肥満を抑えることがわかった」と結論づけている。実際に、ST6GAL1を欠損したマウスに高脂肪食を摂取させると、通常のマウスに比べて体重や脂肪の増加量が大きくなることも判明した。(HealthDay News 2017年1月23日)

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