2HDN糖尿病ニュース2月16日配信1
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鎌状赤血球形質者ではHbA1c値の精度が低下する

黒人の鎌状赤血球形質(sickle cell trait;SCT)者ではHbA1cの測定値が不正確になる可能性が、新しい研究で報告された。

米国糖尿病協会(ADA)による診断基準では、HbA1c値5.7%以上を糖尿病前症または糖尿病と定義している。しかし、今回の研究ではSCTをもつ黒人の場合、その他の測定方法による血糖値から6%と予測されるHbA1c値が5.7%しか示さなかったという。

「人種やSCTによるHbA1c値への影響について、臨床医は知っておいてほしい。HbA1c値がその他の血糖測定値と一致しない場合には、SCTがその一因となっている可能性がある」と、ADAのTamara Darsow氏(本研究には参加していない)は述べている。

HbA1c検査は、過去2~3カ月間に赤血球が糖化した割合(%)を測定するもの。糖化とは赤血球が糖と結合することを指し、高血糖になると生じるとされる。

米国心肺血液研究所(NHLBI)によると、鎌状赤血球症状(sickle cell disease;SCD)は赤血球に含まれるヘモグロビンが変異する遺伝性疾患で、赤血球が通常の円盤状ではなく鎌状に変形する。赤血球の寿命は通常では90~120日だが、SCDの場合は10~20日となる。

このSCDは、両親から変異遺伝子を受け継いだ場合に発症し、一方の親からのみ変異遺伝子を受け継いだ場合はSCTとなる。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、SCT者では通常、症状は現れないという。

米国では黒人の約10%がSCTをもち、地中海および中東の国々でもSCTをもつ人がみられるという。米ブラウン大学公衆衛生学部(ロードアイランド州)のMary Lacy氏らが行った今回の研究では黒人に焦点を当て、CARDIA(若年成人における冠動脈疾患発症調査)に参加した約1,600人とジャクソン心臓研究に参加した約3,000人のデータを用いて解析した。

参加者の平均年齢は52歳で、どちらの群もHbA1c値および空腹時血糖値を測定しており、CARDIA群では糖負荷後2時間値のデータも測定していた。HbA1c値を基準に糖尿病を診断したところ、糖尿病前症と判定された割合は、SCTをもつ群では29%だったのに対し、SCTをもたない群では49%と両群間で大きな差が認められた。

「SCTをもつ人ではもたない人に比べてHbA1c値が有意に低かった。HbA1cは血糖値による影響を受けるが、赤血球の古さにも影響される。SCTをもつ人では赤血球の寿命が短いことが影響を及ぼしていると考えられる」と、同氏は説明している。

米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、鉄欠乏性貧血や腎不全、妊娠後期などもHbA1c値に影響することを指摘しつつ、「HbA1cは空腹時でなくても測定できる実用的な検査であるが、100%信頼できるわけではない」と述べている。なお、Darsow氏によると、この知見はすでに小規模な研究では報告されており、ADAによる診療ガイドラインでも言及しているという。

この知見は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」2月7日号に掲載された。(HealthDay News 2017年2月7日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/sickle-cell-trait-in-blacks-can-skew-diabetes-test-results-719436.html

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