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脳の酸化ストレス増加が糖尿病発症につながる機序を解明 ――東北大と筑波大の共同研究

東北大学大学院医化学分野の山本雅之氏らの研究グループは、筑波大学とのマウスを用いた共同研究で、脳の酸化ストレスが増えると糖尿病や肥満の発症につながる機序を解明したと発表した。全身の代謝調節の司令塔として働く脳視床下部領域で酸化ストレスが増加すると神経細胞が減少し、インスリンやレプチンといったホルモンの作用が減弱することで糖尿病や肥満を引き起こす可能性があるという。視床下部領域における酸化ストレスの抑制が、糖尿病や肥満の新しい治療標的になりうるものと期待される。詳細は「Cell Reports」オンライン版に2月21日掲載された。

糖尿病では酸化ストレスが亢進することが知られているが、とくに代謝調節に重要な役割を果たす脳視床下部領域における酸化ストレスの亢進がどういった意味をもつのかは、研究手法の限界もあり十分な知見が得られていなかった。

研究グループは既に遺伝子組換え法により、酸化ストレスを抑えるために重要なセレンを含有する一群のタンパク質(セレノプロテイン)群の合成に必須なセレノシステイン転移RNA(Trsp)遺伝子の発現を特異的に低下させることができるマウスを作製していた。今回の研究では酸化ストレスを増加させる手法として、このセレノプロテイン群に着目。視床下部領域と膵臓ランゲルハンス島の両方で、または膵臓ランゲルハンス島のみで特異的にTrsp遺伝子の発現を低下させたマウスを比較し、視床下部領域における酸化ストレスの役割を調べた。

その結果、視床下部領域と膵臓ランゲルハンス島でTrsp遺伝子発現を低下させたマウスは肥満と糖尿病を発症していることがわかった。詳細な解析により、酸化ストレスが増加したマウスの脳では視床下部領域での神経細胞死が促され、代謝調節に重要な役割を果たす神経細胞が減少した結果、インスリン抵抗性と肥満抑制ホルモンであるレプチンへの抵抗性が生じていた。

次に、研究グループは、酸化ストレスに曝露したマウスの視床下部領域において酸化ストレスに防御的に働く転写因子であるNrf2を活性化させた。その結果、酸化ストレスは低下し、肥満や糖尿病の予防につながることが明らかになった。(HealthDay News 2017年3月6日)

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