4HDN国内ニュース3月13日配信2
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運動効果を妨げる肝臓ホルモンの働きを解明 ――金沢大の研究グループ

運動の効果には個人差が大きいことが知られているが、これには肝臓から分泌される「ヘパトカイン」と呼ばれるホルモンの1つ、セレノプロテインPが骨格筋に作用することで運動効果を無効にしている可能性があることを、金沢大学大学院内分泌・代謝内科学の御簾博文氏とシステム生物学の金子周一氏らの研究グループがマウスを用いた実験で突き止めた。運動してもなかなか効果が得られない人ではこのセレノプロテインPの血中濃度が高いこともわかった。詳細は「Nature Medicine」オンライン版に2月27日掲載された。

肥満や2型糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の治療ではまず運動療法などの生活習慣の是正が勧められているが、運動療法の効果には個人差が大きいことが知られている。研究グループは今回、2型糖尿病患者や脂肪肝患者、高齢者において発現が増えることが報告されているセレノプロテインPに着目し、マウスを用いた実験でセレノプロテインPが運動に与える影響を検討した。

研究グループはまず、セレノプロテインPを欠損したマウスと正常マウスに1日30分の走行トレーニングを1カ月間行ったところ、運動の強度と時間は同じだったにもかかわらず、セレノプロテインP欠損マウスでは運動効果が倍増していることを見いだした。また、セレノプロテインP欠損マウスでは運動後にインスリンの効きが良くなっていることもわかった。

また、正常マウスにセレノプロテインPを投与すると運動後の筋肉でのAMPKリン酸化が低下したが、セレノプロテインPの受容体であるLRP1(low density lipoprotein receptor-related protein 1)を欠損したマウスではセレノプロテインPを投与しても筋肉に取り込まれず、運動によるAMPKリン酸化は影響を受けないことがわかった。

さらに、健康な女性31人を対象に有酸素運動を8週間行ってもらう臨床研究を行ったところ、血液中のセレノプロテインP濃度が高い人では、濃度が低い人に比べて運動による効果が向上しにくいことも明らかにされた。

以上の結果を踏まえて、研究グループは「セレノプロテインPを過剰に発現すると受容体LRP1を介して筋肉に作用することで、運動してもその効果が得られにくい『運動抵抗性』という病態を引き起こしている」と結論づけ、セレノプロテインPと受容体LRP1を標的とした新しい生活習慣病対策の開発やセレノプロテインPの血中濃度の測定が個々人の運動効果の出やすさの判定に応用できる可能性があるとの期待を示している。(HealthDay News 2017年3月13日)

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