2HDN糖尿病ニュース3月30日配信1
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世界的な糖尿病増加の一因に「気温の上昇」

地球温暖化と糖尿病が関連するという驚くべき知見が報告された。気温が1度上昇するごとに、米国だけでも新たに糖尿病と診断される患者が年間で10万人以上増加するという。

研究著者らは、寒波などの到来で気温が低い状態が続くと熱をつくり出して体温を維持する働きをもつ「褐色脂肪細胞」が活性化されるとしている。体内の余分なカロリーを中性脂肪として身体に蓄積する働きをもつ「白色脂肪細胞」とは異なり、褐色脂肪細胞を活性化させるとインスリン感受性が改善すると考えられている。

「褐色脂肪細胞には、エネルギーを燃焼し熱を産生することで、寒い環境でも体温の低下を防ぐ重要な働きがある。一方で、温暖な気候下では褐色脂肪細胞は活性化されにくく、これがインスリン抵抗性や糖尿病の発症につながる可能性が指摘されている。そこで、われわれは室外の気温と糖尿病が関連するのではないかと考えた」と、研究を主導したライデン大学医療センター(オランダ)のLisanne Blauw氏は述べている。

最近の研究では、2型糖尿病患者にやや寒い気温の環境で10日間過ごしてもらったところ、インスリン抵抗性が改善したとの結果が得られている。同氏らによると、この結果は褐色脂肪細胞の活性化が影響した可能性があるという。また、別の研究では褐色脂肪細胞は1年のうち冬期に最も活性化されることが報告されている。

今回の研究では、1996~2009年の米国50州および3領域(グアム、プエルトリコ、米領ヴァージン諸島)におけるデータと米国疾病管理予防センター(CDC)の全国糖尿病調査システムのデータに基づく成人の糖尿病発症率と、各州の年間平均気温との関連を調べた。1型糖尿病および2型糖尿病の診断は参加者の自己申告によるものであった。

また、研究チームは世界保健機関(WHO)のデータベースから得た190カ国の空腹時血糖値の上昇と肥満率に関するデータと世界の年間平均気温との関連も調べた。

その結果、気温が1度上昇すると米国における年齢で補正した糖尿病発症率は1,000人あたり0.314人増加し、また世界中の耐糖能異常の有病率も0.170%増加することがわかった。さらに、温暖な気候の地域でインスリン抵抗性が多い傾向がみられたという。

同氏は「今回の研究で、外気温の上昇が糖尿病患者の増加と関連する可能性が示唆された。このように、地球温暖化はわれわれの健康に深刻な影響を及ぼしているかもしれず、この可能性にもっと目を向けるべきだ」と述べている。

一方で、米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、「興味深い研究ではあるが、糖尿病の成因は複雑であり、褐色脂肪細胞という1つの要因の影響がこれほど大きいものとは考えられにくい」と述べている。同氏は、参加者の自己申告による糖尿病発症数が正確なものでない可能性や褐色脂肪細胞の役割はいまだ明らかにされていない点を指摘している。

この研究は、「BMJ Open Diabetes Research & Care」オンライン版に3月20日掲載された。(HealthDay News 2017年3月21日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/a-warming-planet-might-mean-more-diabetes-720839.html

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