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肥満に伴う糖代謝異常に肝臓内の細胞間接着や接触が関連 ――糖代謝を引き起こす新しい機序を発見、東京医歯大など

肥満に伴う糖代謝異常には肝臓内における細胞間の接着や接触が重要な役割を果たしていることを、東京医科歯科大学大学院分子内分泌代謝学および九州大学大学院病態制御内科学の小川佳宏氏らの研究グループが、マウスを用いた実験で突き止めた。大阪大学や鶴見大学との共同研究。

この研究により、肥満マウスの肝臓に集積した白血球はVLA-4(very late antigen-4;インテグリンα4β1)を介して、肝臓において血管(類洞)と肝細胞を隔てる肝類洞内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cell;LSEC)に浸潤することや、浸潤した白血球が肝細胞と接触することで肝細胞のNotchシグナルを介して糖代謝異常を惹起するという機序が明らかにされた。糖尿病の新しい治療法の開発につながるものと期待される。詳細は「Cell Reports」3月14日号に掲載された。

肥満になると、肝臓には好中球や単球などの白血球が集積して血糖値の上昇に関与することが報告されているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていなかった。研究グループはLSECに着目し、肥満の病態下で白血球が肝臓に浸潤する際にLSECとどのように作用するのか、また、肝臓に浸潤した白血球が肝細胞と接触すると糖代謝にどのような影響を及ぼすのかをマウスを用いて検討した。

研究グループはまず、顆粒球特異的に緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する遺伝性肥満マウスの生体イメージングにより、非肥満マウスと比べて多くの顆粒球が肝類洞に接着していることを見出した。また、電子顕微鏡を用いた解析により、多くの白血球が肝細胞の間に浸潤していることがわかった。

次に、肥満マウスのLSECではケモカインや炎症性サイトカイン、接着因子の遺伝子発現が上昇し、LSECの細胞表面にある接着因子のVCAM-1(vascular cell adhesion protein-1)の発現が増加して、VCAM-1と結合するVLA-4を介した白血球との細胞接着が亢進していることがわかった。そこで、肥満マウスに抗体を投与してVLA-4の働きを阻害したところ、顆粒球とLSECの接着と肝臓への白血球の浸潤が抑えられ、高血糖が改善した。

さらに、電子顕微鏡による観察で肥満マウスの肝臓では浸潤した白血球が肝細胞と接触している様子が観察された。実際に、マウス肝臓内の白血球と肝細胞を接触させて培養すると肝細胞からの糖の産生が増加した。この際に、細胞同士の接触により活性化されるNotchシグナルを介して糖の産生を促進する酵素の遺伝子発現が増加することも判明。肝臓に浸潤した白血球が肝細胞と接触し、Notchシグナルを介して高血糖を引き起こすメカニズムが明らかにされた。(HealthDay News 2017年4月3日)

Abstract
http://www.cell.com/cell-reports/abstract/S2211-1247(17)30237-1

Pressrelase
http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20170315.pdf

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