2HDN糖尿病ニュース5月11日配信1
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2型糖尿病と肥満の併存で灰白質の萎縮が進む

これまでの研究で2型糖尿病と認知症は強く関連することが示されているが、その謎に迫る新たな研究結果が報告された。「Diabetologia」オンライン版に4月27日掲載された研究によると、2型糖尿病患者では、特に過体重や肥満を伴うと脳の一部で灰白質の厚みが薄くなり、萎縮が進むことが分かったという。

研究責任著者であるEwha大学(韓国、ソウル)脳研究所所長のIn Kyoon Lyoo氏によると、灰白質とは記憶や計画の実行機能のほか、運動生成機能や視覚情報処理を司る。肥満は2型糖尿病や代謝異常のリスクを高めるとともに脳構造に変化をもたらすと考えられていることから、この研究では発症後早期の2型糖尿病患者を対象に、過体重や肥満が脳構造や認知機能に影響するのかどうかを調べた。

この研究では、過体重または肥満の2型糖尿病患者、適正体重の2型糖尿病患者、適正体重の2型糖尿病を持たない人それぞれ50人を対象とした。対象ボランティアの年齢は30~60歳で、糖尿病罹病歴は5年以下、生活習慣の是正や血糖降下薬を服用していた。なお、インスリンを投与中の患者はいなかった。

適正体重の2型糖尿病患者群では平均HbA1c値が7.0%と比較的良好に血糖コントロールがなされていたのに対し、過体重または肥満の2型糖尿病患者群では平均HbA1c値は7.3%であった。全ての参加者に脳MRI検査を行って大脳皮質の厚さを測定し、また、記憶力や思考能力に関する認知機能テストを受けてもらった。

脳MRI検査の結果、適正体重の2型糖尿病患者に比べて過体重または肥満の患者では脳の一部で灰白質の厚みが全体的に薄くなっており、特に側頭葉の灰白質がさらに萎縮していることが分かった。同氏は「これらの領域は肥満と2型糖尿病の併存による影響を特に受けやすい可能性が示唆される」と述べている。

同氏によると、この知見だけでは脳構造に変化をもたらした要因が過体重なのか、2型糖尿病なのか、あるいはこの併存による影響なのかは明らかではないものの、過体重や肥満の2型糖尿病患者では、糖尿病罹病期間が長いほど脳内で多くの変化がみられることも明らかにされたという。同氏はまた、インスリン抵抗性や炎症、血糖コントロール不良といった因子がこうした変化に影響を及ぼしている可能性も指摘している。

なお、この研究では、2型糖尿病患者では体重にかかわらず、適正体重の糖尿病を持たない人に比べて記憶力や思考能力が低下していた。

米レノックスヒル病院(ニューヨーク市)のSami Saba氏は「肥満や2型糖尿病による影響が最も大きい領域は側頭葉で、ここはアルツハイマー病患者でも最も影響を受ける部分であることが分かっている。今回は検証されていないが、2型糖尿病患者では適正体重の患者よりも過体重の患者でアルツハイマー型の認知症リスクが高い可能性が示唆される」と述べる一方で、糖尿病を持たない過体重や肥満の人が対象に含まれていない点を限界として挙げている。

また、同氏は、糖尿病患者の脳を健康に保つには「適正体重の維持が重要であること」が今回の研究の最も重要なメッセージだとしている。

Lyoo氏は今回の知見を踏まえて、「良好な血糖コントロールが糖尿病や肥満に関連する脳内の変化が生じるのを予防し、進行を遅らせる一助になるだろう」と述べ、こうした脳内変化をもたらす因子を解明する研究の必要性を強調している。(HealthDay News 2017年4月27日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/type-2-diabetes-may-be-bad-for-brain-health-722092.html

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