重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)が生じた際に使用するアドレナリン注射(商品名:エピペン)は、使用期限を数年過ぎても有効であることが、新たな研究で報告された。研究を率いた米カリフォルニア毒物管理システム(CPCS)サンディエゴ地区のF. Lee Cantrell氏は、「40本の期限切れエピペンを評価したところ、いずれも初期濃度の80%以上のエピネフリンを含有していた。できれば新しいエピペンに交換すべきだが、品切れのため交換できない場合は、期限切れのものでも持っておく方がよい」と結論づけている。.「使用期限が切れていても、治療効果は依然としてあると思われる。ただし、新しいエピペンが入手できたら、安全のために古いものは破棄してほしい」と同氏は述べ、米国食品医薬品局(FDA)および同国でエピペンを製造するMylan社に対し、使用期限を延長できる可能性があるか、再評価を実施すべきだと提言している。.医薬品の使用期限は、評価の一環として理想的な条件と苛酷な条件での安定性を検討する試験を行い、その結果に基づき設定される。承認後も企業はその試験を継続する必要があり、データが揃えば使用期限の延長を申請することもできる。.Mylan社は、「パッケージに入った状態で保管したときの安全性と有効性に基づき、使用期限は定められている。アナフィラキシーが生命に関わることを考えれば、期限内の約12~18カ月でエピペンを交換するよう勧める」との声明を出している。ただし、使用期限をもっと長くできるよう、製品の改良を続けていくという。.今回の研究は、米国でエピペンの価格が急上昇し、患者が購入を急ぐようになったことを受けて実施された。米国では、Mylan社が2007年にエピペンの販売権を取得して以来、価格が94ドルから609ドルまで値上げされている。重度のアレルギー患者は、致命的なアレルギー反応に備えて常にエピペンを手元に置いている。同社は300ドルのジェネリック薬も発売しているが、薬局の報告によれば、患者は今後の値上げに備えてエピペンを買い占めるようになっているという。.「人々はエピペンが高価になり過ぎ、保険が使えなくなることを恐れている」とCantrell氏は指摘。同氏らの施設には、患者から「エピペンの期限が切れていても使用できるか」との問い合わせが入るようになったという。.今回の研究では、サンディエゴのクリニックで2週間にわたり患者から未使用の期限切れエピペンを回収したところ、成人用31本、小児用9本が集まった。変色がみられるものはなく、分析の結果、いずれも効力をほとんど維持していることが分かった。成人用エピペンの約65%、小児用エピペンの56%が、元のエピネフリン濃度の90%以上を含有していた。最も濃度が低かったのは、使用期限から30カ月経過した小児用エピペンの81%であった。.ペンシルベニア州のアレルギー専門医であるAndrew Murphy氏は、医療費の節約のためにエピペンの交換を延期するべきではないと警告する一方、自宅などでアレルギー反応が生じて手元に期限切れのアドレナリン注射しかない場合は、変色、濁り、浮遊物などがなければ使用してよいと述べている。「ただし、保管条件が悪ければ成分の分解も早まる。理想的な条件で注射器を保管している人は多くないのが現状である」と、同氏は指摘している。.この研究は「Annals of Internal Medicine」に5月9日オンライン掲載された。(HealthDay News 2017年5月9日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/prescription-drug-news-551/expired-epipens-may-still-help-save-a-life-study-722472.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.
重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)が生じた際に使用するアドレナリン注射(商品名:エピペン)は、使用期限を数年過ぎても有効であることが、新たな研究で報告された。研究を率いた米カリフォルニア毒物管理システム(CPCS)サンディエゴ地区のF. Lee Cantrell氏は、「40本の期限切れエピペンを評価したところ、いずれも初期濃度の80%以上のエピネフリンを含有していた。できれば新しいエピペンに交換すべきだが、品切れのため交換できない場合は、期限切れのものでも持っておく方がよい」と結論づけている。.「使用期限が切れていても、治療効果は依然としてあると思われる。ただし、新しいエピペンが入手できたら、安全のために古いものは破棄してほしい」と同氏は述べ、米国食品医薬品局(FDA)および同国でエピペンを製造するMylan社に対し、使用期限を延長できる可能性があるか、再評価を実施すべきだと提言している。.医薬品の使用期限は、評価の一環として理想的な条件と苛酷な条件での安定性を検討する試験を行い、その結果に基づき設定される。承認後も企業はその試験を継続する必要があり、データが揃えば使用期限の延長を申請することもできる。.Mylan社は、「パッケージに入った状態で保管したときの安全性と有効性に基づき、使用期限は定められている。アナフィラキシーが生命に関わることを考えれば、期限内の約12~18カ月でエピペンを交換するよう勧める」との声明を出している。ただし、使用期限をもっと長くできるよう、製品の改良を続けていくという。.今回の研究は、米国でエピペンの価格が急上昇し、患者が購入を急ぐようになったことを受けて実施された。米国では、Mylan社が2007年にエピペンの販売権を取得して以来、価格が94ドルから609ドルまで値上げされている。重度のアレルギー患者は、致命的なアレルギー反応に備えて常にエピペンを手元に置いている。同社は300ドルのジェネリック薬も発売しているが、薬局の報告によれば、患者は今後の値上げに備えてエピペンを買い占めるようになっているという。.「人々はエピペンが高価になり過ぎ、保険が使えなくなることを恐れている」とCantrell氏は指摘。同氏らの施設には、患者から「エピペンの期限が切れていても使用できるか」との問い合わせが入るようになったという。.今回の研究では、サンディエゴのクリニックで2週間にわたり患者から未使用の期限切れエピペンを回収したところ、成人用31本、小児用9本が集まった。変色がみられるものはなく、分析の結果、いずれも効力をほとんど維持していることが分かった。成人用エピペンの約65%、小児用エピペンの56%が、元のエピネフリン濃度の90%以上を含有していた。最も濃度が低かったのは、使用期限から30カ月経過した小児用エピペンの81%であった。.ペンシルベニア州のアレルギー専門医であるAndrew Murphy氏は、医療費の節約のためにエピペンの交換を延期するべきではないと警告する一方、自宅などでアレルギー反応が生じて手元に期限切れのアドレナリン注射しかない場合は、変色、濁り、浮遊物などがなければ使用してよいと述べている。「ただし、保管条件が悪ければ成分の分解も早まる。理想的な条件で注射器を保管している人は多くないのが現状である」と、同氏は指摘している。.この研究は「Annals of Internal Medicine」に5月9日オンライン掲載された。(HealthDay News 2017年5月9日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/prescription-drug-news-551/expired-epipens-may-still-help-save-a-life-study-722472.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.