4HDN国内ニュース5月29日配信3
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糖尿病足潰瘍の年間発症率は0.3%、切断率は0.05% ――日本初の大規模前向き調査、日本糖尿病学会で報告

福岡県内の糖尿病専門病院に通院する糖尿病患者約5,000人を対象に、糖尿病足病変に関する疫学調査を行った結果、糖尿病足潰瘍の年間発症率は0.3%、切断率は0.05%と海外の報告に比べて10分の1程度であったことを、白十字病院(福岡市)副院長・糖尿病センター長の岩瀬正典氏(九州大学大学院病態機能内科学共同研究員)が第60回日本糖尿病学会年次学術集会(5月18~20日、名古屋市)で報告した。糖尿病足病変に関する大規模な疫学調査は国内で初だという。

海外では糖尿病患者の2~3%が活動性の足潰瘍を有し、その生涯発症リスクは25%に上るとされているが、国内では糖尿病足病変の大規模調査は行われていなかった。今回、同氏らは大規模疫学調査である福岡県糖尿病患者データベース研究(Fukuoka Diabetes Registry;FDR)のデータを用いて足病変の発症率と発症要因、生命予後について検討を行った。

対象は、2008~2010年に同県内の糖尿病専門施設に通院する外来の糖尿病患者5,131人(うち男性が2,854人、平均年齢65歳、平均罹病期間16年)。糖尿病足潰瘍の有無は年1回の自記式質問紙調査で調べ、医師が発症を確認した。追跡率は97.7%で、追跡期間の中央値は5.4年であった。

その結果、追跡期間中に79人が足潰瘍を発症し、うち12人が切断した。1,000人年当たりの発症率は足潰瘍が3.0、切断が0.5であった。再発率は足潰瘍の既往がある患者で高く、107人中24人(22%)が再発した。また、多変量調整Cox比例ハザードモデル解析により、足潰瘍発症のリスク因子として足潰瘍の既往(ハザード比21.3)、うつ症状有り(同1.82)、血糖コントロール不良(HbA1c値8.0%以上、同1.69)、男性(同1.66)の4つの因子が浮かび上がった。なお、うつ症状はうつ病自己評価尺度(CES-D)スコアが16以上と定義した。

閉塞性動脈硬化症〔ASO;ABI(足関節上腕血圧比)9.0未満と定義〕の有無が判明した足潰瘍患者63人の44%にASOの合併が認められ、ASO合併例の29%が下肢切断に至った。また、切断例では約8割がASOを合併していた。

足潰瘍患者の死亡率は年間2.8%で、5年生存率は88%であり、5年生存率は足潰瘍がない患者(95%)に比べて有意に低かった。また、足潰瘍がない患者の死因の第1位はがん(39%)だったのに対し、足潰瘍がある患者では循環器疾患(44%)による死亡が最も多かった。多変量調整Cox比例ハザードモデル解析で心血管疾患の既往や慢性腎臓病(CKD)を調整後も足潰瘍は死亡のリスク因子(1.77倍)であった。

以上の結果から、同氏は、(1)海外の報告(足潰瘍の年間発症率1.9~2.6%)に比べて国内の糖尿病足潰瘍の発症率は10分の1程度に留まったこと、(2)うつ症状による足潰瘍リスクの増加の程度は海外の成績と同程度であったこと、(3)足潰瘍患者の5年生存率に海外の報告(約60%)と差がみられたのは心血管リスクの相違が影響している可能性があるとまとめている。(HealthDay News 2017年5月29日)

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