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日本人2型糖尿病患者のアルブミン尿陽性率は約30% ――JDCP studyベースラインデータを用いた解析

大規模前向き観察研究であるJDCP(Japan Diabetes Complication and its Prevention Prospective)studyのベースラインデータの解析により、日本人2型糖尿病患者のアルブミン尿陽性率は約30%で、正常アルブミン尿でありながら腎機能低下がみられる患者は全体の約1割にみられることが、岡山大学病院新医療研究開発センターの四方賢一氏らの検討で分かった。過去の報告に比べてアルブミン尿陽性率は低下したが、正常アルブミン尿+腎機能低下症例の割合には変化がみられず、同氏は「日本人2型糖尿病患者の腎病変は多様化している可能性がある」と指摘している。第60回日本糖尿病学会年次学術集会(5月18~20日、愛知県名古屋市)での報告。

JDCP studyは、2007~2009年に登録した全国の糖尿病医療機関に通院中の1型および2型糖尿病患者(40~74歳)6,338人を前向きに観察したもの。今回の研究では、同研究に参加した2型糖尿病患者5,944人のうち腎症に関するベースラインデータが登録されている5,194人を対象に、腎症の合併率や病期、その発症に関連する因子を検討した。

その結果、対象患者におけるアルブミン尿の頻度は、正常アルブミン尿が約70%、微量アルブミン尿が25%、顕性アルブミン尿が5.1%とアルブミン尿陽性率は約30%であることが分かった。アルブミン尿陽性率は2007年のJDDM(糖尿病データマネジメント研究会)の報告(42%)に比べて低かった。腎症の病期分類は腎症前期(第1期)が全体の約70%、早期腎症期(第2期)が約25%、顕性腎症期(第3期)が約5%、腎不全期(第4期)が0.7%であった。

近年、注目されている正常アルブミン尿でありながら腎機能低下〔推定糸球体ろ過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満〕がみられる患者の割合は、正常アルブミン尿者の12.9%、対象患者全体では9.0%であった。なお、この割合は2009年のJDDMの報告(正常アルブミン尿者の11.4%、全体の7.9%)と同程度であった。

アルブミン尿が正常な患者と陽性の患者では、年齢、糖尿病罹病期間、高血圧や脂質異常症の既往、体重、BMI、ウエスト周囲長の他、HbA1cや空腹時血糖、血圧、HDL-コレステロールなどの各測定値に有意差がみられた。また、腎機能低下の有無(eGFR 60mL/分/1.73m2以上または未満)でも同様の指標に有意差がみられたが、後者では飲酒習慣があると腎機能が保存されるとの結果が得られた。

さらに、多重ロジスティック回帰分析によると、アルブミン尿の発症には年齢、糖尿病罹病期間、高血圧の既往、BMI、HbA1c値およびeGFRが関連因子であることが分かった。これらの因子はeGFR低値とも関連していたが、腎機能低下には男性、脂質異常症の既往、アルブミン尿といった因子も関連することが判明し、アルブミン尿と腎機能低下に関連する因子には一部に相違がみられた。

今回はベースラインデータの解析であったが、同氏らのワーキンググループは今後、観察期のデータを解析することで腎症の発症進展率や進展に関連する因子、寛解の頻度などを検討していく予定だとしている。(HealthDay News 2017年6月5日)

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