複数の種類の降圧薬を低用量ずつ組み合わせて使用した方が、1種類の降圧薬を標準用量で使用するよりも降圧効果が優れている可能性が、ジョージ・グローバルヘルス研究所(オーストラリア)のAnthony Rodgers氏らによる研究で示された。同氏らは今回、過去に発表された研究データを合わせて分析する「メタ解析」を実施した。解析対象は、42件のランダム化比較試験(RCT)に参加した成人の高血圧患者2万284人。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、サイアザイド系利尿薬、カルシウム拮抗薬など、さまざまな種類の降圧薬が使用されていた。.解析の結果、2種類の降圧薬を低用量(標準用量の4分の1)ずつ用いた併用治療による降圧効果は、標準用量の単剤治療と同程度であることが示された。また、低用量の降圧薬を併用する場合、薬剤の種類が増えるほど降圧効果が高まることも分かった。4種類の降圧薬を低用量ずつ用いた併用治療では、標準用量の単剤治療と比べて収縮期血圧(SBP)が22.4mmHg、拡張期血圧(DBP)が13.1mmHg低下することを示したRCTも1件あった。.一方、有害事象に関しては、低用量を1種類あるいは2種類用いた治療の方が標準用量を1種類用いた治療よりも頻度が低かった。ただ、低用量を4種類用いた場合については十分な情報が得られなかったとしている。.降圧薬はいずれも単独では効果が不十分な場合が多く、高用量になると副作用が問題となることも珍しくない。今回の研究結果を踏まえ、Rodgers氏らは「低用量でも複数の種類の降圧薬を併用することで、大きな効果を得ることができるのではないか」と結論づけている。.今回の研究には関与していない循環器専門医である米ワシントン大学(シアトル)のEugene Yang氏は、この結果について「異なる種類の降圧薬を併用することで、相乗効果が生まれるようだ」との見方を示している。ただし、同氏は解析に含まれたRCTの追跡期間は最長でも2週間であったことなどを指摘。より大規模な長期の研究を実施する必要があるとしている。.さらに同氏は研究の弱点として、解析に含まれたRCTのほとんどが17年以上前に完了した試験であることも指摘。この他、複数の論文著者が製薬企業から資金援助を受けていることなどについても言及している。.この研究結果は「Hypertension」オンライン版に6月5日掲載された。(2017年6月5日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/high-blood-pressure-health-news-358/moving-toward-a-better-blood-pressure-pill-723343.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.
複数の種類の降圧薬を低用量ずつ組み合わせて使用した方が、1種類の降圧薬を標準用量で使用するよりも降圧効果が優れている可能性が、ジョージ・グローバルヘルス研究所(オーストラリア)のAnthony Rodgers氏らによる研究で示された。同氏らは今回、過去に発表された研究データを合わせて分析する「メタ解析」を実施した。解析対象は、42件のランダム化比較試験(RCT)に参加した成人の高血圧患者2万284人。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、サイアザイド系利尿薬、カルシウム拮抗薬など、さまざまな種類の降圧薬が使用されていた。.解析の結果、2種類の降圧薬を低用量(標準用量の4分の1)ずつ用いた併用治療による降圧効果は、標準用量の単剤治療と同程度であることが示された。また、低用量の降圧薬を併用する場合、薬剤の種類が増えるほど降圧効果が高まることも分かった。4種類の降圧薬を低用量ずつ用いた併用治療では、標準用量の単剤治療と比べて収縮期血圧(SBP)が22.4mmHg、拡張期血圧(DBP)が13.1mmHg低下することを示したRCTも1件あった。.一方、有害事象に関しては、低用量を1種類あるいは2種類用いた治療の方が標準用量を1種類用いた治療よりも頻度が低かった。ただ、低用量を4種類用いた場合については十分な情報が得られなかったとしている。.降圧薬はいずれも単独では効果が不十分な場合が多く、高用量になると副作用が問題となることも珍しくない。今回の研究結果を踏まえ、Rodgers氏らは「低用量でも複数の種類の降圧薬を併用することで、大きな効果を得ることができるのではないか」と結論づけている。.今回の研究には関与していない循環器専門医である米ワシントン大学(シアトル)のEugene Yang氏は、この結果について「異なる種類の降圧薬を併用することで、相乗効果が生まれるようだ」との見方を示している。ただし、同氏は解析に含まれたRCTの追跡期間は最長でも2週間であったことなどを指摘。より大規模な長期の研究を実施する必要があるとしている。.さらに同氏は研究の弱点として、解析に含まれたRCTのほとんどが17年以上前に完了した試験であることも指摘。この他、複数の論文著者が製薬企業から資金援助を受けていることなどについても言及している。.この研究結果は「Hypertension」オンライン版に6月5日掲載された。(2017年6月5日).https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/high-blood-pressure-health-news-358/moving-toward-a-better-blood-pressure-pill-723343.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.