1-1 HDN6月19日「今日のニュース」No.1
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製薬企業から医師への金品はがん治療薬の選択を左右するのか

製薬企業から食事を提供されたり、旅費や講演料などを受け取ったりしたことがある腫瘍医は、その企業が製造するがん治療薬を処方する確率が高いことが、米ノースカロライナ大学のAaron Mitchell氏らによる研究で明らかになった。この研究結果は米国臨床腫瘍学会(ASCO 2017、6月2~6日、シカゴ)で報告された。

これまでにも、製薬企業から金品を受け取った医師は、安価なジェネリック薬よりもブランド薬を選ぶ傾向が強いことが報告されていた。ただ、がん治療薬は高価で毒性が強いため、医師がどの治療薬を選択するかが特に重要だといえる。

そこでMitchell氏らは今回、米国で3種類の治療薬の選択肢がある腎細胞がんと慢性骨髄性白血病に焦点を当て、処方内容と製薬企業から医師への10ドル以上の金品提供に関するデータを調べた。なお、提供された金品は食事代、旅費・宿泊費、講演料、顧問料などの「一般費」と「研究費」の2種類に分類した。

その結果、製薬企業から一般費を受け取ったことがある医師では、受け取ったことがない医師と比べて、同じ企業が製造する治療薬を選択する確率が腎細胞がん治療では78%、慢性骨髄性白血病では29%高かった。なお、製薬企業から提供された一般費の平均額は、腎細胞がんの治療に当たった医師では566ドル(約6万2,900円)、慢性骨髄性白血病の治療に当たった医師では166ドル(約1万8,400円)だった。

一方、製薬企業から医師に提供された研究費の平均額は、腎細胞がんの治療に当たった医師で3万3,000ドル(約367万円)、慢性骨髄性白血病の治療に当たった医師で18万6,000ドル(約2070万円)だった。興味深いことに、腎細胞がんの治療薬の選択には研究費の提供が影響していることが示されたが、提供された研究費がより多額であった慢性骨髄性白血病の治療に当たった医師では、研究費を受け取ったことによる治療薬の選択への影響は認められなかった。

米コロンビア大学ハーバート・アーヴィング総合がんセンターのDawn Hershman氏は、「3種類の治療薬から1剤を選択しなければならない場合、製薬企業から提供された研究費により実施した臨床試験で使用経験がある薬剤を選ぶのは不思議ではない」と指摘。Mitchell氏も「研究費と比べて少額な金品であったとしても、何かを受け取ることで製薬企業との関係が生まれ、その企業の薬剤を使用する方が情報を得られやすく安心だと感じられるのではないか」としている。

一方で、Mitchell氏は医師が少額の金品による影響を過小評価しがちであることを指摘。「周りの医師は金品を受け取ることによる影響を受けているかもしれないが、自分は影響されていないと考える医師は多い」と述べている。また、Hershman氏は患者自身がさまざまな治療選択肢について学び、医師とともに治療を選択する必要があると強調している。

学会発表された研究結果は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年6月6日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/doctor-news-206/can-drug-company-perks-sway-cancer-docs-prescriptions-723353.html

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