1-1 HDN7月20日「今日のニュース」No.2
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遺伝子を改変するがん免疫療法、米国で初承認へ

米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は7月12日、米国初となる遺伝子治療の承認を満場一致で勧告した。この治療は、B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)に対するがん免疫療法であるキメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)療法で、「CTL019」と呼ばれるもの。FDAがこの勧告を承認すれば、長らく有望とされてきた遺伝子治療の新たな時代の幕開けとなる可能性がある。

CTL019はノバルティス社により開発され、再発または他の治療が奏効しない3~25歳のB細胞性ALL患者への適応が検討されている。米国ではALLに年間5,000人が罹患し、その約60%を小児または若年成人が占めている。患者の85%は標準治療で治癒するが、15%では治療が無効か、再発が認められる。

米ニューヨーク・タイムズ紙は、この新治療を受けた患者の声を伝えている。CTL019の承認を支持しているDon McMahon氏は、息子のConnor君が3歳でALLを発症してから12年もの間、耐え難い苦痛を伴うさまざまな治療を受けてきたと語る。しかし、Connor君は米デューク大学でこの新治療を受けてから順調に回復し、ホッケーをできるまでになったという。

12歳のEmily Whiteheadさんは、CTL019を最初に投与された小児患者だ。今回、両親に付き添われてFDAの諮問委員会の会合に出席し、承認を求めた。Emilyさんは6歳でCTL019による治療を受け、一時は重篤な副作用で生命の危機に瀕したものの、その後はがんのない状態を維持しているという。

この治療法では、まず認定を受けた医療施設で患者から数百万個の免疫細胞(T細胞)を採取し、凍結する。このT細胞をノバルティス社の研究室で解凍し、キメラ抗原受容体(CAR)という蛋白質を作るように遺伝子を改変する。この改変によりT細胞はALL細胞を見つけやすくなり、がん細胞を死滅させられるようになる。再プログラムされたT細胞は再び凍結された後、医療施設に返送され、点滴静注で患者の体内に戻される。

治療法の開発に協力した米ペンシルベニア大学のCarl June氏によると、このT細胞はたった1個で10万個ものがん細胞を破壊できるという。他の治療が効かずもう手立てはないと思われた患者が、1回のみの治療で長期寛解を得られていると、ニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

ただ、この治療法は安価とはいえず、30万ドル(約3370万円)を超える費用がかかる可能性もある。また、複雑な手順を要し、重篤な合併症が起きる可能性もあるため、ノバルティス社は当面、CTL019の使用を米国内の30~35カ所の認定施設に限定する予定だという。FDAの諮問委員会でも重篤な副作用や後年の二次がんリスク上昇に関する懸念が示されたが、「二次がんのリスクに関しては、今後の追跡調査の結果をみなければ分からない」と、研究者らは述べている。(HealthDay News 2017年7月12日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/genetics-news-334/fda-panel-oks-what-may-soon-be-first-gene-therapy-approved-in-u-s-724536.html

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