2HDN糖尿病ニュース8月10日配信2

免疫細胞を「再学習」させる新しい糖尿病治療法

1型糖尿病および2型糖尿病患者の免疫細胞を「再学習」させる新しい治療法が、4年間にわたって糖尿病の管理に有用であったことが新しい研究で示された。米ハッケンサック大学医療センターのYong Zhao氏らの報告で、詳細は「Stem Cells Translational Medicine」7月7日オンライン版に掲載された。

この治療法は、糖尿病患者の血液から分離した免疫細胞(リンパ球)を臍帯血幹細胞に短時間曝露した後、患者の体内に戻すもの。この「幹細胞エデュケーター(stem cell educator;SCE)療法」によって正常な機能から逸脱したリンパ球に正しい行動を再学習させるという。

1型糖尿病は、自己免疫が膵β細胞を攻撃して細胞死を引き起こす自己免疫疾患であるが、Zhao氏らは、免疫細胞に攻撃を止めるよう「再学習」させる新しいアプローチ法を開発した。これまでの研究で、1型糖尿病患者に対するSCE療法は1年間有効で、安全であることが確認されており、今回の研究ではSCE療法を受けた中国の1型糖尿病患者9人を対象に4年間追跡し、膵β細胞の機能などを評価した。

その結果、1型糖尿病の診断後早期(5カ月後および8カ月後)にSCE療法を受けた2人の患者では、1回の治療でインスリン分泌の程度を反映するC-ペプチド値が4年間にわたって正常範囲内に維持され、インスリン治療は必要とされなかったことが分かった。

また、診断から4年が経過した患者では治療後にC-ペプチド値は上昇したが、寛解には至らなかった。一方で、残りの6人の患者では治療後にC-ペプチド値の低下がみられた。このことから、Zhao氏らは「SCE療法は2回以上行う必要がある可能性が考えられる」とし、これまでの研究でSCE療法は2~3回行っても安全性に変わりはないことが分かっていると付け加えている。

さらに、Zhao氏らは、SCE療法は2型糖尿病患者においてインスリン抵抗性の改善に有用である可能性に着目。罹病歴が15~24年間と長期にわたる2型糖尿病患者6人を対象に、SCE療法を行って4年間観察したところ、6人中4人で1回の治療によりCペプチドが正常値に回復し、追跡期間中も維持されていたことが分かった。

この他、詳細な検討により、1型糖尿病と2型糖尿病の双方で膵β細胞が長期的かつ臨床的に機能が改善したのには、SCE療法後の血小板とそれが放出するミトコンドリアが重要な役割を果たしている可能性のあることも示唆された。

Zhao氏は、幹細胞エデュケーター療法は糖尿病だけでなく、円形脱毛症や全身性エリテマトーデス(SLE)、橋本病、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患の治療にも役立つ可能性があるとしている。研究グループでは、同大学の1型糖尿病患者を対象にSCE療法の臨床試験を進める予定だという。

なお、専門家の1人で若年性糖尿病研究財団(JDRF)のJulia Greenstein氏は「この研究は血小板が膵β細胞に直接影響し、その働きを促進する可能性を示唆するもので興味深い」と評価しつつも、研究を再現し検証する必要があることを指摘している。(HealthDay News 2017年7月14日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-management-news-180/new-diabetes-treatment-teaches-rogue-immune-cells-to-behave-724500.html

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