4HDN国内ニュース8月16日配信1
image_print
疾患・分野別ニュース/国内ニュース/

「味噌」が血圧上昇や脳卒中に抑制的に働く可能性 日本人が長寿である一因か 広島大の研究グループ

日本人の食生活に欠かせない「味噌」を摂取すると、食塩含有量が多いにもかかわらず血圧上昇が抑えられ、脳卒中の予防効果をもたらす可能性のあることを、広島大学名誉教授の渡邊敦光氏と同大学大学院心臓血管生理医学教授の吉栖正生氏らの研究グループがラットを用いた実験で突き止めた。研究グループは、発酵熟成の過程で産生される何らかの物質が食塩の作用を抑制している可能性を想定し、「塩分摂取量が多い日本人が長寿であるパラドックスを解明する一因となるのではないか」と述べている。詳細は「American Journal of Hypertension」7月31日オンライン版に掲載された。

米や麦、大豆麹にして大豆と塩で発酵させて作る味噌は、昔から健康に良いものと考えられてきた。これまでの疫学研究では味噌の摂取量が多いと乳がんや早期の前立腺がん、大腸がん、肝臓がん、胃がんなどになりにくい可能性が示され、基礎研究でもその効果が証明されている。一方で、味噌の摂取は食塩の過剰摂取につながる恐れがあるとされてきたが、最近では、味噌汁の摂取頻度と血圧の間に関連は認められないとする研究報告のほか、同氏らの食塩感受性ラットを用いた実験でも味噌による塩分摂取は血圧を上昇させないことが示されている。

 

さらに、閉経後の女性では大豆イソフラボンを多く摂取すると脳卒中や心筋梗塞が抑えられることが示されているが、味噌の効果については明らかにされていない。そこで研究グループは今回、味噌の摂取による脳卒中への影響を検討するため、ラットを用いた実験を行った。

 

研究グループは、脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHRSP)36匹を用いて、(1)味噌由来の2.8%の食塩を含む餌(味噌群)と(2)同量の食塩を含む餌(高食塩群)、(3)0.3%の食塩を含む普通餌(低食塩群)を摂取させ、1日に3回、63日間観察し、歩行障害や異常がみられた場合には剖検してその原因を特定した。なお、このSHRSPは、低食塩群でも血圧は200mHgを超える。

 

その結果、カプランマイヤー生存曲線で3群を比べたところ、味噌群および低食塩群と比べて高食塩群では生存率が有意に低下していた(それぞれP=0.02、P<0.001)。また、高食塩群では低食塩群よりも血圧が上昇し、早期から歩行障害などの脳卒中症状が現れたのに対し、味噌群の血圧は低食塩群との間に差はみられず、脳卒中による死亡率は低食塩群よりやや高かったものの有意差は得られなかった。さらに、高食塩群には大脳に大出血を生じたラットもあったが、味噌群と低食塩群には認められなかった。

 

渡邊氏らは、動物実験の結果をヒトに応用するには慎重さが必要としながらも、「料理の味付けを食塩から味噌を含む発酵食品に代えることで、脳卒中の発症率がわずかでも下げられるのではないか。がんを減らし、生活習慣病を改善するには、昔ながらの『ご飯と味噌汁』の食生活を再評価することが有用かもしれない」との考えを示している。(HealthDay News 2017年8月16日)

 

Abstract

https://academic.oup.com/ajh/article-abstract/doi/10.1093/ajh/hpx129/4056350/Protective-Effects-of-Japanese-Soybean-Paste-Miso?redirectedFrom=fulltext

 

Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.

 

RELATED ARTICLES