英国の子どもを対象とした観察研究で、睡眠時間が短いほど2型糖尿病の危険因子が多く、その後に2型糖尿病を発症しやすいことが分かった。「Pediatrics」8月15日オンライン版に掲載されたこの研究によると、睡眠時間が短いほどBMIやインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)が高まるなど、睡眠時間は2型糖尿病のリスクマーカーと負の関連を示したという。研究を行った英ロンドン大学セント・ジョージ校疫学教授のChristopher Owen氏は、この知見は小児期の睡眠習慣がその後の糖尿病などの慢性疾患リスクに影響する可能性を示唆しており、「子どもの頃に生じたインスリン抵抗性やBMIなどの糖尿病リスクマーカーのわずかな差は、成長後も影響し続けるようだ」と述べている。.Owen氏らは、9~10歳の小児4,525人を対象に、平日の就寝時刻と起床時刻を尋ねたほか、体重や身長、体脂肪を測定し、血液検査でインスリン値や血糖値などを調べ、睡眠時間と2型糖尿病リスクマーカーとの関連を調べた。.その結果、対象とした小児の1晩の睡眠時間は平均で10.5時間であった。これは全米睡眠財団(NSF)が6~13歳の子どもに推奨する睡眠時間(9~11時間)の範囲内であったが、8時間から12時間と幅広く、個人差が大きいことも分かった。.解析したところ、全体的に睡眠時間が長いほど痩せており、インスリン抵抗性の子どもも少なかった。睡眠時間が1時間増えるごとにBMIは0.19ポイント、HOMA-IRは2.9%、空腹時血糖値は0.24%それぞれ低下した。.Owen氏らは、こうした結果は「運動量が多い子どもでは睡眠時間が長くなること」では説明できないことも突き止めたほか、子どもの生活習慣や健康度に影響するとみられる家庭の社会経済的状況でも説明できなかったとしている。.付随論説の共著者で米カリフォルニア大学デービス校教授のNicole Glaser氏は、この研究はこれらの因果関係を証明するものではなく、睡眠や食欲、インスリン感受性などを制御する脳機能が関与している可能性を指摘しているが、学習面や精神面からも子どもに十分な睡眠をとらせることは大切だと付け加えている。.米ニクラウス小児病院睡眠障害センターのMercedes Bello氏は、睡眠は多くのホルモンの分泌に影響することから、睡眠不足が子どもの体重やインスリンに直接的に影響するのは確かだとし、この研究がさらなる検討の実施につながる良い契機となることに期待を示している。なお、同氏は子どもが健やかな睡眠をとるために、就寝する1時間前からテレビや電子機器の電源を切り、就寝前にはカフェイン入りの飲み物を摂らないようアドバイスしている。(HealthDay News 2017年8月15日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/lack-of-sleep-may-raise-child-s-type-2-diabetes-risk-study-725585.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.