1-1 HDN8月28日「今日のニュース」No.1
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トランプ氏の得票率が高かったのは平均余命の短い地域

2016年の米大統領選挙は共和党のドナルド・トランプ氏の勝利に終わったが、米ボストン大学公衆衛生学部のJacob Bor氏らによる研究から、過去8年間に平均余命が延長した地域と比べ、短縮した地域でトランプ氏の得票率が高かったことが分かった。詳細は「American Journal of Public Health」10月号に掲載された。

Bor氏らによると、米国民全体の平均余命は1980年以降に5年以上延長した。しかし郡別に見ると、この間に10年以上延長した地域が存在する一方で、全く変化がみられない地域や短縮した地域もあり、地域間で健康格差があることが指摘されているという。

今回、同氏らは郡別の2016年の大統領選における投票パターンと、1980年から2014年までの平均余命の変化との関係について分析した。その結果、同期間の平均余命の延長年数が全国平均を下回る郡では有権者の過半数がトランプ氏に投票していた一方、全国平均を上回る郡では有権者の過半数が民主党のヒラリー・クリントン氏に投票していた。

また、民主党のバラク・オバマ氏と共和党のジョン・マケイン氏が戦った2008年の大統領選と比べた2016年の大統領選における得票数を見ると、共和党は平均余命の延長年数が全国平均を上回る郡で6万7,000票を減らした一方、全国平均を下回る郡では310万票を増やした。これに対し、民主党は同年数が全国平均を上回る郡で140万票を増やし、下回る郡で500万票を失った。

米国公衆衛生協会(APHA)のGeorges Benjamin氏によると、平均余命が短い地域では医療保険への未加入者が多く、小児肥満、貧困、オピオイド依存などの問題を抱える住民の割合が高いという。ただ、同氏は「有権者がこうした問題を政治的な問題として捉えているのかどうかは不明」としている。一方、Bor氏も「生活状況の悪化に伴うがん罹患率や喫煙、違法薬物の使用率の上昇などが平均余命を短縮させる要因として考えられる。ただ、地域の住民の健康面での停滞がトランプ氏の得票につながったと考えるのは飛躍し過ぎ」との見方を示している。

さらに、米イェール大学予防研究センターのDavid Katz氏も、社会経済的に恵まれない集団からトランプ氏が票を集めたという見方に同意を示し、「職業や教育、収入、環境などの社会的あるいは経済的な問題が、平均余命といった健康状態の指標に影響することは以前から指摘されている」と話している。

一方、同誌に掲載された米ウィスコンシン大学のElizabeth Stein氏らによる研究結果は、経済的な問題と健康状態との関係について理解を深める一助となるものだ。同氏らは、1999~2001年と2013~2015年の米国民の死亡データを分析し、両期間の間に早期死亡率が8%低下したにもかかわらず、主に農村地域に居住する白人では早期死亡率は上昇したことを明らかにした。また、このような特定の集団で早期死亡率を引き上げた主な要因は、貧困や医療へのアクセスの悪さとの関連が強い自殺や中毒、肝疾患であることも分かったという。ただ、この研究では貧困や医療へのアクセスの悪さといった状況にあることが原因で早期死亡率が上昇したという因果関係が示されたわけではない。(HealthDay News 2017年8月17日)

https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/longevity-982/voters-in-counties-with-worse-life-expectancy-turned-to-trump-in-election-725656.html

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